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2020.11.04

産業ロボット向けも拡充 アルミ構造材のSUS【前編】

アルミ製構造材大手のSUS(静岡市駿河区、石田保夫社長)が、産業用ロボット向け製品を拡充している。パラレルリンクロボットを取り付ける架台(アルミフレーム)に加え、今年から協働ロボット向けの専用台車も発売した。アルミ製フレームは、接合部の精度や強度、剛性(変形のしにくさ)不足を心配する声もあり、産業用ロボット向けに使われることは少なかったが、独自に開発した接合部品や、自社設計したフレームなどの強みを生かし、採用を広めてきた。通常の産業用ロボットや、今後の普及に期待がかかる協働ロボットの分野での採用を見込み、販売を強化する考えだ。

製造現場のソリューション提供

ABBのパラレルリンクロボット用標準架台「Flex Pickerオールインワン」

 SUSはアルミ製構造材メーカー大手として、工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)や物流、建築などの分野でさまざまな製品を販売している。
 FA分野では、福島事業所の押出機で製造したアルミ押出材のフレームや拡張パーツを使い、製造現場の生産力と製造品質を高めるための数々のソリューションを提供してきた。SUSは全てのアルミ部品を内製している。

 同社のアルミ製フレームは、装置の架台や作業台、シューター(物を自重で滑らせる機器)、安全柵、工場内のクリーンブースなど、目立たない所で、実はよく使われている。

 最近では、作業の負担を軽くするため、動力を使わない「からくり機構」を使った「GFモーションユニット」なども供給し、自動車や半導体、物流など幅広い分野で作業現場の改善活動を支えている。

 SUSが今、FA業界の中で特に力を入れるのが、産業用ロボットの分野だ。パラレルリンクロボットを取り付けるフレームでは既に、SUSの製品が使われている。

 アルミ製フレームはこれまで、接合部の精度や強度、剛性不足を心配する声などから、産業用ロボット向けにはあまり採用されてこなかった。ロボットは重量があるため、その稼働で生じる振動や摩擦などで、フレームそのものががたつき、ぐらぐらするとの先入観が顧客側にあったからだ。

 展示会やショールームなど、ロボットを展示する、もしくは短期間だけ動かすデモ展示などで使われる程度で、実際の加工現場や作業現場で導入されるケースは少なかった。

 「『アルミは軽い素材』とのイメージから、ぐらつく、もしくは導入当初は大丈夫でも、使い込むうちにぐらつくようになる、とのイメージや思い込みが先行した」、第1開発グループの長田展幸グループマネージャーはそう語る。仮にぐらつく場合でも、さまざまな形や大きさの補強用のコーナージョイントがあり、それらを使用すればぐらつきを抑えられる。顧客の懸念を払しょくするため、データを示しながら徐々に顧客が持つイメージを変えていったという。

 SUSのアルミ構造材は、用途に応じてさまざまな形状のものが用意されている。強度や剛性を確保するため、焼きばめ式の製品もある。これらの部材を効果的に使えば、ぐらつく心配もなく現場に導入できる。

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