協働ロボットでも速い! 新製品や新ソフトを国内初披露/ユニバーサルロボット
デンマークに本社を置く協働ロボットメーカーのユニバーサルロボット(UR、日本支社=東京都港区、山根剛代表)は7月3日、日本支社でメディア向けの説明会を開き、新製品や新機能などを発表した。「協働ロボットは動作速度が課題だったが、新製品は非常に高速で非協働型の産業用ロボットの需要の一部を取り込める。その他、導入のボトルネックとなっていた社内説得に役立つソフトウエアも新たに開発した」と山根代表は話す。
非協働型の需要の一部を取り込める
同イベントで実機を国内初披露した新製品が協働ロボット「UR15」だ。「同社史上最速」をうたうロボットで、ツール・センター・ポイント(TCP=アーム先端に取り付けるエンドエフェクターの中心点)の最高速度は秒速5mを誇る。
「TCPの最高速度も速いが、この数値一つでは表せない他のあらゆる面でも速度を突き詰めている」と山根代表は言う。例えばアーム動作時の加減速や手首の回転速度が速く、社内試験では同じくリーチ長1300mmのUR10eと比較してサイクルタイムを最大27%短縮できた。5月から世界中で受注を開始しており、国内では7月から出荷を開始している。
同製品の可搬質量は15kgだが、パレタイジング(荷役台への荷物の積み付け)のように手首が下を向く使い方であれば17.5kgまで扱える。
最適なパラメーターを自動算出
新製品に限らず同社製品全体のサイクルタイム短縮のため、新機能「OptiMove(オプティムーブ)」も開発した。同社のティーチングペンダント「ポリスコープX10.7/ポリスコープ5.21」以降のバージョンで利用できる機能で、安全機能の設定値や荷重、重心などの情報を基に、最適な動作パラメーターを自動算出してくれる。
パラメーターの最適化で動作時の振動を抑制でき、動作終了から振動が収まるまでの時間を短縮することでサイクルタイム削減に貢献する。速度を上げても不要な保護停止が生じにくく、関節部のギアへの負担も減るためギア寿命も伸ばせる。
「カメラをアーム先端に搭載した場合に振動があると撮影できないため、動作終了から振動が収まるまでの時間が短いのは大きなメリット」(竹下隆章アプリケーションエンジニアチームリーダー)
社内説得にも使える無料シミュレーションツール
誰でも無料で簡単に使えるシミュレーションソフト「UR Studio(スタジオ)」も開発した。インストール不要で、同社のサイトからアカウント登録すればブラウザ上で使用できる。
仮想空間に同社の各種ロボットとベルトコンベヤーやパレット(荷役台)、テーブル、ワーク、工作機械などを配置し、レイアウトやサイクルタイムを検証できる。周辺設備の3DCAD(設計)データがある場合は、そのデータをインポートすることもできる。
動作プログラムも同ソフトから作成でき、そのプログラムを転送すれば実際のロボットも動かせる。
「社内説得用にシミュレーション結果が欲しいとの要望は多く、スタッフができる限り対応はしてきたが、人員の制限もあり対応しきれない部分もあった。URスタジオがあれば誰でもいつでもシミュレーションができ、導入効果を把握した上で意思決定してもらえる」と吉岡孝朗シニアマーケティングマネジャーは期待を込める。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)