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2023.02.10

イベント

検査と物流の自動化提案が花盛り。新技術も続々

3D画像で導入検討を補助

ネクストスケープのロボレンズを使えば、実際の空間にロボットがあるかのように表示して検証できる

 新技術を使った展示も目立った。
 ネクストスケープ(東京都新宿区、小杉智社長)は、ユニバーサルロボットのブースで「RoboLens(ロボレンズ)」のデモをした。ゴーグル型の機器に現実空間の映像を撮り込み、仮想空間の映像を同時に投影する複合現実(MR)技術を使う。
 その機能を使い、実際にあるロボットの周囲に3D画像(ホログラム)で動作軌跡などを表示できる。さらにユーザーの手を使ったジェスチャーでホログラムの動作軌跡を調整して、実際のロボットの動作に反映できるなど、直感的な教示作業を実現した。
 また、ロボットの導入を検討する際のシミュレーションにも使える。設置したい場所にホログラムでロボットを表示し、大きさや可動範囲を表示。そのロボットを教示すれば、動作イメージも仮想上に再現する。

 説明員は「実際の空間に映像を表示するのが特徴。稼働中の生産ラインを止めずに、ロボットを組み込む位置などを検証できる」とロボレンズの利点を語った。同機能は3月末に試験版の提供を始める。

安川電機の「モートマンネクスト」はチョコ菓子の箱詰めも

 安川電機は教示作業なしで自律的に作業する「MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)シリーズ(仮称)」で、贈答品をイメージした箱詰めを披露した。
 昨年の「2022国際ロボット展」や「ロボットテクノロジージャパン」などでも披露した展示だが、今回は従来から対応していたジュースの紙パックだけでなく、個包装で半透明の袋に入ったチョコレート菓子も併せて任意に箱詰めするように進化した。8種類のジュースパックと2種類の菓子から5種類を自由に選択すると、ロボットが自律的に作業を始める。

コニカミノルタは100mm前後の部品を扱うパーツフィーダーを実演展示

 コニカミノルタは、100mm前後の対象物を整頓する部品供給機(パーツフィーダー)を、ロボットなどを組み合わせて開発した。一般的なパーツフィーダーは、ねじなどの小物部品向けが多い。ところが、同社の複合印刷機の組み立て工程では、100mm前後の部品を多く使う。そのサイズを扱えるパーツフィーダーがなかったため、自社で内製した。
 まず、部品が無造作に入った容器の中からトレーの上に数個を取り出す。次にロボットハンドに内蔵した2Dカメラの画像からトレー上の対象物の姿勢を認識して、1つだけをつまみ上げてコンベヤーに載せ、組み立て工程に送る。

 このシステムでは1つのロボットハンドで、複数個の部品をつかむ動作と1つをつまみ上げる動作を両立した。複数個をつかむ際には、グリッパーを大きく開きく。反対に1個をつまみ上げる際には爪の先を器用に動かす。担当者は「この多機能ロボットハンドは、制御ソフトのパラメーターを変更するだけで、多様な部品をピッキングできる」と胸を張る。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜、水野敦志)



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