「まるでウニ!?」横浜で複数の展示会、産ロボの未来を垣間見た
同時期に画像機器の展示会も
12月7日~9日には、同じくパシフィコ横浜で「国際画像機器展2022」が開かれた。機械や生産ライン向けの光学機器や画像処理技術が集う展示会の会場でも、産業用ロボットや自動化に関連する出展者に注目が集まった。 ドイツに本社を置く制御機器メーカーの日本法人、ベッコフオートメーション(横浜市西区、川野俊充社長)は同展に初出展。開発中のカメラユニットなどを展示した。 同社は17年から自社の制御機器に搭載できる画像処理ソフトウエアを提供してきた。制御システムと画像処理を統合すると、画像処理の結果を受けて新たに機械動作を指示するような制御プログラムを簡単に構築できる。 そういった用途の増加に合わせて、専用のカメラや照明機器などのハードウエアの開発を進める。担当者は「ドイツ本国でも正式発売の日時は未定。ただ、設備制御で画像や映像を使う例は確実に増えてくる。いち早く国内にも正式に提案したい」と話す。 光学機器の専門商社、ケイエルブイ(東京都千代田区、川岸大介社長)は、ドイツのロボセプションの「ロボット向けビジョンシステム」を展示した。容器内に無造作に置かれた物を取り出す「ばら積みピッキング」に向く。 同システムは産業用ロボットに搭載できる3Dカメラユニット。情報処理用の基板も内蔵しており、同ユニットだけで画像処理やロボットへの空間座標の出力まで対応できる。さらにオプションの画像処理機能も用意する。事前に対象ワークの設計(CAD)データを読み込むことで、CADデータに合致するワークのみを取り出す機能などを追加できる。
ロボットのシステムインテグレーター事業やエンジニアリング事業などを手掛けるマクシスエンジニアリング(名古屋市千種区、水野敬三社長)は、特殊な照明を使った外観検査装置「ホロ照明ユニット MHA-P30」と産業用ロボットを組み合わせた。 同社が開発した「ホロシート」を通して照明を当てることで、光の波長をそろえて外乱光を低減できる。光の当たる部分は赤色や黄色、青といった光の3原色に輝き、光の届かない傷や打痕、へこみの部分は影の黒色となるため見分けやすい。それを見抜くカメラや画像処理技術を一体のユニットにして、産業用ロボットに持たせた。 担当者は「人工知能(AI)などを使わなくても、光の当て方で傷を見抜ける。簡単なシステム構成でも十分な性能を持つ」と胸を張る。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜、水野敦志)
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