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2023.07.18
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[ロボットが活躍する現場vol.29] 東北に建てたスマートファクトリー/三井屋工業

異常時の初期対応をより早く

加工機に設置したカメラで稼働状況を一覧表示できる

 IoTの活用も、工程内の欠肉検査やAGVの自動搬送と並んで重要な施策の1つ。工場内のカメラや設備に搭載したセンサーで、稼働状況を可視化する。そのデータを管理者が見られるようにすることで、異常時の対処や現場の改善に素早く取りかかれるようにした。  また作業者は、製造する品種や開始時間などをタブレットに入力して記録する。異常発生時は管理者にアラートを通知する機能を備える。「作業日報も手書きではなくタブレットに入力するだけで良く、作業していて非常に便利」との現場の声も。  高橋社長は「これまで設備が停止した際などは熟練作業者の経験に基づいて対策をしており、解決に長い時間がかかることもあった。IoT化でデータを基に原因の究明ができるようになり、問題の再発率はかなり下がった」と成果を語る。

設備の予兆検知を目指す

「データを分析して、設備や品質不具合の予兆検知に生かしたい」と語る高橋社長

 東北工場について「生産設備は非常に満足な出来」と高橋社長。今後はデータのさらなる活用が課題という。「これまではデータを集めるのが大変で、そこで止まっていた。IoTの活用でそのハードルが下がり、分析に注力できる」と語る。  まずは設備の予兆検知を目指す。「設備が停止する前に対策し、止まらない生産活動を実現したい。他にもデータ活用のさまざまな案が出ており、現場の意識も高まっている」と話す。  また同社は環境対応にも積極的に取り組む。製造過程で出た端材を破砕し、樹脂と混合して製品の素材として再利用する。高橋社長は「まだ始まったばかりだが、大学と共同研究してさらなるリサイクル方法を開発している。廃材に新たな価値を与えて製品にするアップサイクルが今後の目標」と展望を語る。

(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)

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