[特集 国際ロボット展vol.8] 狙うは本丸・物流業界/ヤマハ発動機、アイエイアイ、ユニバーサルロボット
使う機運高めたい
デンマークに本社を置く協働ロボットのパイオニア、ユニバーサルロボット(UR)は、協働ロボットを使った具体的な作業のデモを会場で披露する。2台の協働ロボット「UR3e」を双腕構成にし、日東精工のねじ締めドライバーと組み合わせたねじ締めデモでは、一方のロボットがワークをつかみ、もう一方のロボットでねじ締めをする。これまで作業者の人手に頼ってきたねじ締め作業を、協働ロボットの強みを生かし作業者の中に入り、安全柵なしで代行できる。もちろん、協働ロボットだけで作業をさせるのも可能。多品種少ロットの部品やユニットの組み立て作業などに対応できる。 さらに、2台の「UR5e」を使い、SMC製のマグネットグリッパーとシナノケンシ製電動3爪ドライバーと組み合わせたコンベヤートラッキング作業のデモも披露する。2台のロボットが2台のコンベヤーにそれぞれ追従し、コンベヤーを流れる缶をマグネット式のグリッパーで持ち上げ、別のコンベヤーに流す。流れてきた缶を電動の3爪ドライバーで持ち上げ、元のコンベヤーに戻す。物流現場でのコンベヤーの流れ作業を、簡単なドライバーとの組み合わせでの自動化を再現する。 協働ロボットは、国内では広く一般に認知されたとの印象があるが、UR自身はどう受け止めているのだろうか。日本法人(東京都港区)の山根剛ゼネラルマネジャー(GM)は「まだまだ。協働ロボットの周知が大事」との認識だ。
「国内メーカーの協働ロボットがようやく出そろい、プレイヤーがそろった。日本の顧客は、皆が使い始めれば『ウチも使ってみよう』との雰囲気へと一気に変わる。URの使命の一つに『市場を作る』との言葉がある。今回もしっかり、協働ロボットを使う機運を高めたい」(山根GM)と意気込む。 「国際ロボット展では、食品や医薬品、化粧品などの『三品業界』を含むあらゆる現場で活躍するパレタイジングや、工作機械へのワークの投入、高トルクのねじ締め、TIG溶接など初披露のデモを多数用意した。実際の現場でどう使えるのかをぜひ感じ取って欲しい」という。 ロボットメーカー各社は今回の2022国際ロボット展(iREX2022)で、さまざまな業界の物流業務や、物流業務の本丸とも言える、倉庫や運送などの物流業界へのアプローチを、あらゆる方法で本格化させる構えだ。
(ロボットダイジェスト編集部 長谷川 仁)
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