フィジカルAIで自動化領域を広げ、製造業への参入強化/NTTデータグループ
いかに現場の負担を軽減できるか
今年6月1日に、NTTグループは三菱ケミカル(東京都千代田区、筑本学社長)のプラント工場で設備点検の自動化実証を実施したと発表した。岡山県倉敷市にある石油化学製品の製造工場を実証地とし、屋外設備の点検作業のロボット化を図る。
自律走行型搬送ロボット(AMR)と四足歩行型ロボットを使い、自律移動や遠隔操作で設備の周辺を巡回し、異常を検知できるか検証した。
この工場ではこれまで、モノのインターネット(IoT)システムなどを導入し、設備点検の自動化に取り組んできた。だが全ての点検作業の自動化は難しく、作業者の巡回がどうしても必要になる。点検のためだけに高頻度に現場に行かねばならず、現場の負担の大きさが課題という。
そこでさらなる自動化に取り組むが、点検でチェックすべき事項は設備の振動や異音、異臭など多岐にわたる。これらを網羅的に検知するのを最終目標としつつ、まずはロボットにカメラとマイクを搭載し、振動や異音の検知に着手した。取得したデータをリアルタイムにAIで解析するようにしたところ、設備にセンサーを取り付けた場合と同等の精度で異常を判断できた。
こうして検知した異常を作業者に通知する体制を構築できれば、作業者は異常発生時にのみ現場に向かえばよく、点検作業の負担を大きく軽減できる。
イノベーションセンタの田端佑介シニア・エキスパートは「まずは作業者が巡回するエリアの一部を実証の範囲としたが、今後は対象エリアや検知対象の拡大を計画する。プラント工場では法令や安全上の理由から、作業者の巡回自体は必須。そのため巡回の完全な代替ではなく、AIを用いて異常の兆候を自動検知し、作業者が重要箇所の点検や判断により集中できる環境を目指す」と話す。
別の現場ではロボットアームを搭載したAMRで屋内設備を自動点検する、停止した自動化設備をロボットで再起動させる、などの実証を進める。三菱ケミカルでの事例も含め、NTTの次世代通信ネットワーク「IOWN(アイオン)」も活用しながら、NTTデータグループがシステム開発や周辺設備との連携などを手掛ける。
田端シニア・エキスパートは「顧客の悩みに対してコンサルティングから担い、現場ごとに最適なシステムを提供できるのがわが社の強み。会社として製造業との協業拡大を掲げており、これまで以上に密接な連携をしていければ」と語る。
堀内課長は「ハードとソフト共に技術革新の速度が著しく、今まで不可能だった作業も明日には自動化できるようになるかもしれない。そうした時に後れを取らないよう、先行した技術開発を進めたい」と意気込む。
担当記者からのおすすめ!
○ロボットアームの遠隔操作の実証実験に成功/NTT、三菱電機
○NTTの次世代技術「IOWN APN」で導入時の工数を30%削減/リョーサン菱洋
○NTTグループと資本・業務提携し、データ管理を安心安全に/Mujin

