• インタビュー
2024.08.23
★お気に入り登録

国内製造業のために、良い物を現場へ/シュマルツ 小野雅史社長

ユーザー間でも情報交換を

「所属が変わっても、やるべきことは変わりません」と小野社長

――前職では制御機器メーカーに所属されていました。  その経験も生かせると考えています。前職では自動化システムの全体構築などに携わってきました。シュマルツでも、個々の真空部品の提供に留まらず、真空搬送システム全体としての提案を強化していきます。例えば、吸着搬送では対象物(ワーク)の重心や吸着面が変わるだけで、難易度が大きく変わります。そこで、前工程でワークの上部にくる面を変えるひと工夫が大事になります。そういったノウハウやポイントも含めて、提案していきたいです。 ――それ以外に構想している取り組みはありますか。  営業活動の強化はもちろんですが、それと併せて、ユーザーのコミュニティーを作る構想を立てています。前職でも、イベントやセミナーなどを通じて、顧客間での情報交換も活発にする取り組みを仕掛けてきました。欧州を中心に海外メーカーの生産財には、革新的な製品も多いです。私にできるのは、それらを日本に紹介して発展的に使ってもらい、品質や生産性向上などの面から国内製造業に貢献すること。そのためには、ユーザーのコミュニティーも大事と考えています。所属が変わっても、やるべきことは変わりません。

国内ニーズをグローバルに反映

真空リフターを実演する小野社長

――産業別で開拓を狙っている市場はありますか。  国内では、物流分野の自動化や省人化が喫緊の課題となっています。真空機器メーカーとして大きく貢献できる分野です。また、製造業でも半導体関連と自動車向けを中心にしたバッテリー関連には大きな伸びしろがあると見ています。それぞれ生産技術が進化し続けているので、吸着搬送などにも新しい技術を求められるでしょう。ぜひ、挑戦したい分野です。オートメーション製品もそうですが、手動で搬送する真空リフターでも、まだまだ進化の余地があると考えています。 ――「ぜひ、挑戦したい」の真意とは。  グローバルから見ても、日本は重要拠点です。それは、売り上げ面だけではありません。シュマルツには、日本のユーザーのニーズを受けて開発した製品がいくつもあります。新しい技術を求められる分野に挑戦することで、新たな製品開発につながります。 ――その通りですね。  よく、技術主体で製品開発をする「プロダクトアウト」と市場ニーズを受けた「マーケットイン」の良しあしが議論されます。少なくとも、オートメーション製品は、プロダクトアウトだけでは進展しないでしょう。プロダクトアウトで生まれた画期的な製品でも、それを使ったユーザーの意見を取り入れて進化させていくべきです。そのためにも、国内ユーザーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)とより強固なパートナーシップを築く必要があります。 ――従来よりも、国内ニーズを製品開発に生かせる体制を目指すと。  そうです。ゲッテゲンス会長は来年、本国に戻り、開発部署の要職に就く予定です。日本を知り尽くしたゲッテゲンス会長が、グローバルの開発部署にいるのは心強いです。営業力を強化して国内のニーズを十分に把握して本国に伝え、製品開発に生かしてもらう。それで国内ユーザーの課題を解消できるような循環が理想です。

★お気に入り登録

BASIC KNOWLEDGE