2024.07.03
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[ショールーム探訪Vol.23]専門メーカーならではの提案の場に/パナソニック コネクト「プロセスエンジニアリングセンター」

多種多様なソリューションを展示

展示内容について佐藤公哉マネージャー(右)に一つ一つ丁寧に教えてもらった

 PECの概要や取り組みについて話を聞いた後、溶接ロボットのショールームを訪ねるとずらっと溶接ロボットが並んでおり思わず圧倒された。ショールーム内には合計17台のロボットが展示されている。「数多くのロボットを展示するが、それぞれ特徴が異なっているため顧客のさまざまな要望に応えられる。溶接に特化した展示ができるのは、溶接を専門とする当社ならでは」と佐藤公哉マネージャーは胸を張る。    溶接速度を落とす代わりにスパッタ(熱せられた金属の粒を指す)が発生せず、品質を重視したティグ(TIG)溶接の自動化システムがあるかと思えば、それと打って変わってスパッタの発生をできる限り抑えながらも溶接速度を優先したマグ(MAG)溶接の自動化システムも展示しており、佐藤マネージャーの言葉にすぐ納得できた。

 ショールームの目玉の一つが溶接外観検査ソリューション「Bead Eye(ビードアイ)」を使った溶接と検査の自動化システムだ。ビードアイは3Dスキャナーでワーク(溶接対象物)の形状をスキャンし、あらかじめスキャンした良品との比較検査と人工知能(AI)での検査をする。AIのエンジンは、導入時にすでに溶接向けに学習されている状態のため、従来の自動外観検査が苦手としていた微小な欠陥も見逃しにくい。  ショールームのデモでは溶接と検査の一連の流れを見ることができた。まずワークを持ったロボットが溶接トーチの方へワークを持っていき、溶接が最も安定する下向きの姿勢でアームを動かしながら溶接位置を調節。溶接完了後はスキャナーの下へワークを持っていき、ワークの外観をスキャンする。

 スキャン後、デモの手前に置かれたモニターに10秒足らずで検査結果が表示された。結果はOK。その後、あえて不良品をスキャンしてもらったら、検査結果でNGの箇所が色分けされており、どこが不良箇所かすぐに気付けた。

良品を検査後はOKとモニターに表示された
不良品を検査したら不良個所が一目で分かるように表示された

 「PECのショールームは製品を提案する場でもあるが、工場に溶接環境や検査環境を持たない顧客へ溶接や検査のサービスを提供する場でもあるのが一般的なロボットメーカーのショールームとの違い」と佐藤マネージャー。「これまで60年以上にわたって溶接機の開発に取り組んでいる。さまざまな溶接に対応する工法や溶接条件を開発し、機器にフィードバックすることで、溶接機器メーカーとしての特徴を出すことに注力をしてきた。これからも他社との差別化を図っていきたい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)

[取材記者から] 大阪府豊中市は閑静な住宅街のイメージが強かったため、PECのようなBtoB(企業向け)のショールーム施設が存在することにまず驚いた。大阪梅田駅から乗り換えなしで行けることに加え、豊中市には大阪国際空港もあるため、四国や九州などの遠方からの移動も短時間で済む。PECは溶接機器の展示に留まらず、ソリューション提案の場でもあるため、実際に訪れることで得られる気付きはきっと多いだろうと思う。 施設概要 名称:パナソニック コネクト「プロセスエンジニアリングセンター」 所在地:大阪府豊中市稲津町3-1-1 見学の問い合わせはパナソニックコネクトのホームページから

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