[進化する物流vol.18]自動化テーマで内覧会盛況/Phoxter
GTPで物流の効率が改善
ハイクロボットのAGVは、地面に貼り付けられた2次元コードを読み取って自身の位置を推定しながら、ライダーと呼ばれるセンサーを使用して周辺との距離を測りながら自律走行するSLAM(スラム)式のハイブリッドタイプ。2次元コードの汚れや障害物などに柔軟に対応するのが強みだ。
作業者やロボットが商品棚に商品を取りに行く方式のピッキングではなく、ロボットが商品や商品棚を作業者の手元に運んでくる「グッズ・トゥ・パーソン(GTP)」が、物流施設内での基本的な使い方。
フォクスターの矢部秀一さんはセミナーで「人がピッキングをすると、1日10kmほど歩くことになる。GTPを構築することで人が移動する必要はほとんどなくなり、商品棚を密集させることで在庫容量を増やしたり、出荷の処理能力を引き上げたりすることもできる」とメリットを語った。
デモは内覧の対象となる募集区画で実施された。地面に等間隔に貼られた小さな2次元コードをたどって棚を底から持ち上げて運ぶ動きと、2次元コードがない場所でもスムーズに走行する動きを実演した。障害物を避けるルートを選択して移動する機能も披露され、真剣な表情で見入る参加者が目立った。
内覧会を自動化のきっかけに
アーバンロジスティックス箕面には医薬品を扱うEC(インターネット販売などの電子商取引)事業者が入居しており、フォクスターなど数社が共同でGTPの自動化システムを構築した。内覧会の締めくくりは、この導入事例の見学。参加者はEC事業者の許可を得た見学ポイントから、ロボットの動きやワークステーション(ロボットが持ってきた商品を作業者がピックアップする固定の拠点)での作業を、時間の許す限りじっくり観察していた。
CBREの担当者は「自動化をテーマに据えたことで、普段よりも多くのお客さまに来場いただき、満足度も高かったと感じた。内覧会をきっかけに物流施設の賃貸につなげていくことも重要だが、来場者に自動化のアイデアを提供する機会になれば」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)