[活躍するロボジョvol.16]現場でしか分からないことがある/京セラ 牛星さん
巡り巡ってロボットに出会う
子どものころから理系科目が得意だった牛さんは、中国の大学院で信号処理など通信工学を専攻。在学中に電気通信大学へ1年間留学したことがきっかけで、日本に愛着が湧いた。ちょうど京セラが中国でも採用に取り組んでいると聞き「京セラならば大学で学んだことを生かせると思い応募しました」と話す牛さん。中国でのグローバル採用の第1期生として12年に入社した。「ただ、後で分かりましたが学校で学ぶことと仕事で求められることは違いますよね」と笑う。 入社後、牛さんは大阪大東事業所(当時)で携帯電話向けのソフト開発に携わり、その後生産技術開発部に転属し、生産技術にAIをどう活用できるかを研究した。20年に大阪玉造事業所を拠点とするロボティクス事業部に異動してからも、ロボットシステムの開発をするなど、主に研究開発の分野でキャリアを積んだ。「ロボティクス事業部に来るまで産業用ロボットと関わりはありませんでしたが、ソフトの開発やAIの研究などの経験が生かせる分野だったので挑戦しようと思いました」と語る。
ロボティクス事業部内のフィールド・サポート・チームでは、現場でロボットの動きを修正できる人材を求めていた。そこで牛さんが同事業部に移ってから半年ほど経ったころ、ソフトに対する造詣が深く、プログラム修正に現場で対処できる牛さんに白羽の矢が立った。「フィールド・サポート・チームで現場を実際に目にして、ロボットシステムの開発部門が想定していた環境と実際の製造現場にギャップがあることを知った。頭の中で立てていた計画通りに進められることはそうそうないんだと現場に立つことで痛感しました」と牛さん。研究開発の分野で活躍していた牛さんにとり、導入先とのコミュニケーション能力が求められるなど新しい業務に戸惑いはあったが、経験を重ねるうちに現場のニーズに応えることの喜びを知った。
理想は導入サポートと開発の二刀流
牛さんは休日になるともっぱら2人の子どもの遊び相手を務める。「子ども2人の相手をするのはとても大変。仕事がある平日より疲れることもあります」と話しながらも表情はどこか楽しげだ。京セラでは育児休暇やフレックスタイム制度、在宅勤務など、生活環境に合わせて柔軟な働き方ができる。「今まで仕事を辞めたいと思ったことがないので、働き続けられる環境が整っているのはありがたいですね」と話す。 これまでは社内の工場にロボットシステムを導入することがほとんどだったが、今後は社外の製造現場も対象に入る。「これからどんどん経験を積んで、よりお客様のご希望に沿ったロボットシステムを導入していきたい」と牛さん。「いずれは現場の導入サポートだけでなく、システムの改善まで含めたサイクルを自分で回したい。ロボットシステムを開発した後に、現場の導入サポートで課題やさらなるニーズを拾い上げ、それらを基にシステムの改良にも携わるのが目標です」と意気込む。