2024.12.23
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超軽量ロボットは片手で持てる、日本法人設立しショールームも開設/REALMAN ROBOTICS鄭随兵CEOインタビュー

減速機から自社で開発

「減速機から自社開発した」と話す鄭CEO

――なぜそこまで軽量にできるのですか?  減速機から自社開発していることが大きいです。今は別ブランドで別法人から販売していますが、わが社は減速機メーカーでもあります。小型化・薄型化を徹底的に追求してロボット用減速機を開発していますので、これまでにない軽量なロボットが可能になります。自社製造のためリーズナブルで、関節ユニットに使うその他の要素機器やコントローラーなども自社開発しています。

同社はロボット用の減速機や関節ユニットも開発する

――超軽量だと、樹脂製ですか?  関節カバーなど一部に樹脂系素材は使いますが、減速機は金属製です。産業用ロボットで広く使われる波動歯車減速機ですので、信頼性も高いです。要素部品なのであまり表に出ることはありませんが、日本にもわが社の減速機を採用しているユーザーは既にいくつもあり、ロボットメーカーの一部製品にも採用されています。 ――減速機メーカーから派生してロボットメーカーに?  その逆です。私はロボットが大好きで、中国農業大学でロボット工学を学び、大学院ではロボットの安全性や操作性の向上、つまりは今でいう協働ロボットの研究をしていました。私は、いずれはロボットが家庭内でも使われるようなると考えています。家庭内でも使われるには、小型AMRにも搭載しやすい軽量なアームが必要ですが、既存の市販部品の組み合わせでは理想的なロボットは作れないと感じていました。そこで、起業してまずは減速機の開発から始めました。会社設立は2018年ですが、起業を目指し10年からロボットの研究開発はしていました。

小売りやサービス分野を開拓

――家庭でも使われるロボットを目指しているのですね。  そうです。家庭で普及させるには他にも必要な要素があり、中国語で「般化能力」というのですが、状況に合わせて柔軟に判断する能力も欠かせません。これには深層学習などの人工知能(AI)が有効でしょう。またコストも重要で、コストダウンにも力を入れています。しかし、家庭にロボットが普及するのはまだ少し先の話になりますので、まずは事業者向けにしっかりと提案していきます。 ――製造現場向けですか?  工場の生産ラインに組み込んでも使えるだけの品質は確保しています。ですが、われわれは先ほどいったように減速機メーカーでもあり、産業用ロボットメーカーは顧客に当たります。既存のロボット市場を取り合ってもあまり意味がないため、新規市場の開拓を目指します。

日本法人の事務所にはショールームも併設し、多数のシステムを展示する

――新規市場とは?  まず挙げられるのは、小売り・サービス分野ですね。リアルマンのロボットなら接客カウンターにも設置しやすいので、コーヒーなどの飲み物の提供にはよく使われます。また日本にはコンビニがとても多いですが、その品出しに使えるAMR搭載型のロボットシステムも開発しています。アームが軽いため、AMR上の昇降機に横向きにアームを取り付けても安定性が高いです。中国ではマッサージに協働ロボットを使うことも多く、わが社でも専用のシステムを開発しています。その他、珍しいところでは建設業界や畜産業界で使われた実績もあります。日本法人本社併設のショールームでは、協働ロボットの各シリーズの他、AMR搭載型システムやマッサージシステムなども展示しています。 ――対象となる業界が幅広いですね。  そのため、わが社だけで開拓することはできません。われわれは今年、「グローバルGPR(ジェネラル・パーパス・ロボット)アライアンス」を発表しました。簡単にいえば、ロボットシステムでAI機能などを使いやすくするためのオープンソースのプラットフォームです。こうしたプラットフォームもありますので、日本のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)やロボットを組み込んだ装置を開発するメーカーの皆さまにも、ぜひリアルマンロボティクスの製品を活用していただければと思います。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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