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2023.07.28
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ドイツのロボット展に見る最新自動化提案【後編】/automatica 2023

中小企業が導入しやすいシステム

 ロボットハンド(エンドエフェクター)の分野でひときわ存在感を放つのがドイツのSchunk(シュンク)だ。セールス部門でシニア・バイス・プレジデントを務めるハラルド・ディッカートマン氏は、「目的は中小企業が導入しやすいシステムを提供すること」と言う。「高齢化、人手不足、人口減少など、ドイツが抱える社会課題は日本と同じ。もっともっと製造現場の自動化を加速しなければならない」と強調する。  動画はABBの協働ロボット「ゴーファ」を使ったポリッシング(表面磨き)のシステムだ。ハンド部を取り換えながら複数工程をこなす。従来、オペレーターが手作業でやっていた仕事をいかにしてロボットに置き換えるかとの視点からの提案だ。また同社ブースではEV向けの提案も充実していた。磁力を使ったバッテリーセルの搬送や、ヘアピン型のコイルをモーター部品に挿入する工程のデモにも人だかりが絶えなかった。

実装システムに新機軸か?

 最後に日系以外かつロボットメーカー以外の出展者で目についたところをざっと振り返りこの記事を締めたい。  ドイツの制御機器メーカー、ベッコフオートメーションのユニット型のロボットモジュール「ATRO(アトロ)」も注目を集めた出展機種の一つだ。各種モジュールを柔軟に組み合わせて制御できるものだが、今回展では双腕ロボットを展示し、モジュール構造の柔軟性の高さを存分にアピールした。また、最先端の搬送システム「XTC」や「XPlanar(エクスプラナー)」の非接触給電システムを提案した。可動子がリニアシステムの上部を通過する一瞬で給電ができる仕組みだ。  検索システム大手グーグルでおなじみのアルファベットグループからIntrinsic(イントリンジック)が単一プラットフォーム(基盤)でロボットを実装するプラットフォームの「FlowState(フローステート)」を展示した。ビヘイビアツリーと呼ばれるフローチャートのような仕組みで製造現場ごとのシステムインテグレーションができる。デジタルツイン機能を活用することで、組んだシステムの確認や修正も容易だ。  展示会場では、イタリアのロボット大手コマウと共同開発したEVのフレームにバッテリーを組み付けるシステムを展示した。EVは基本的に部品が大型化する傾向にあるため、自由度が高く、システムが組みやすいPFの登場が待たれている。個人的な心象だが、今回展で最も注目を集めた展示がこれであった。

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