エプソンはさまざまなソリューションで生産現場の難題解決を共に目指す Vol.2
ケーブル把持からコネクター挿入まで
クラボウ社のクラセンスは形状や向きが、その都度異なるケーブルやフラットケーブルのような柔軟物など、一般の3Dビジョンセンサーでは認識が困難なものを線分ベクトル認識という高速3D認識技術を使って空間での位置を判定できる。 そのクラセンスとエプソンの力覚センサー、エプソンロボットを組み合わせた「ケーブル高速挿入ロボットシステム」を開発。それにより従来は人手で作業していたフラットケーブルや同軸ケーブルの挿入の自動化を実現した。 まずはクラセンスでフラットケーブルの形状を認識。その情報を基にエプソンロボットがフラットケーブルをつかみ、力覚センサーで微妙な力加減を調整しながら、正確にコネクターに差し込む。
電機電子、スマホ、照明器具など幅広い分野へ
ケーブル把持や挿入の作業工程の自動化を可能にした「ケーブル高速挿入ロボットシステム」は幅広い業界から今注目を集める。 例えばスマートフォン(スマホ)のBtoBコネクターやノートPC、ゲーム機などのケーブル挿入、また電線やケーブルの製造など多くの生産現場から引き合いがあるという。期間限定の契約社員や外国人実習生も多く、作業者の技術、特に難作業が伴う工程の人材が安定して育たない。加えて精密な組み立てやコネクター挿入には集中力が必要で、長時間の作業は作業者への負担が大きい。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が直撃して、人手不足が加速。工場内での作業者の密接回避も必要になった。 また、最近では導入を検討される顧客の背景も変化してきた。「人手不足の解決」の手段にとどまらず、「安定した品質保証」のソリューションとしても関心を示す。 人手作業では、コネクターや部品を押し付けた力の大きさを測る方法がなく、品質保証も難しい。コネクター部分の接触不良は最悪の場合、最終顧客より通電不良として報告されることもあり、メーカーの信用に関わる。それを自動化することにより、安定した品質保証を目指す。 デバイスの小型化、作業の複雑化、また多品種少量生産への対応などさまざまな課題に追われる生産現場。発売以降、電機精密分野や、電動化などから電子機器の使用が増えた自動車関連分野など案件が具現化しているが、顧客の反応も良く手応えを感じている。 今後も業界問わず、今まで自動化を諦めていた難作業工程に、この画期的なソリューションを提案していく。
力覚センサーの応用
エプソンの力覚センサーとクラボウ社のクラセンスとの協業ソリューションをはじめ、エプソンは今後も力覚センサーを応用したソリューションのパッケージ化を進めていく。 上田さんは「力覚センサーは新たな領域だからこそ、パッケージ化することにより、顧客が自社の課題をこのソリューションで解決できることを確信してもらうことが大切」と話す。 すでにこの力覚センサーを使って、既定の動作をオブジェクトとして開発している。対象物(ワーク)を接触した位置で停止させる「接触」や接触させながら添わせて動かす「倣い」、ワークを倣わせて穴や段差を見つける「探り」などの5つの動作を規定。これらを組み合わせることで、複雑な作業も簡単にシステムを構築できる。 その上で力覚センサーを中心に、特定の用途に向くロボットやロボットハンド、カメラ、制御システムなども一体にしたパッケージ提案を強化する方針だ。 上田さんは「力覚センサーを使ってロボットに感覚を持たせることで、今まで自動化出来なかった難作業のブレイクスルー(障壁の解消)に大きく貢献してきた。製造業では部品は小型化し続ける。感度の高い力覚センサーは、まだまだ用途が広がる」と将来を見据える。 詳しくはエプソンのHP(www.epson.jp/products/robots)まで エプソンはさまざまなソリューションで生産現場の難題解決を共に目指す Vol.1 ~製造向けソリューション~ Vol.2 ~力覚センサーソリューション~ Vol.3 ~分光ビジョンシステム~ Vol.4 ~食品産業向けソリューション~