2022.07.20
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[SIerを訪ねて vol.25]使いやすく、導入しやすい提案を/JRC

本業はコンベヤー部品メーカー

本社工場は兵庫県淡路市にある

 JRCの社名は「Japan Roller Corporation(ジャパン・ローラー・コーポレーション)」の頭文字を取ったものだ。1961年の創業から現在に至るまで、半世紀以上にわたりローラーやプーリーなどのコンベヤー部品を設計、製造してきた。兵庫県や北海道、埼玉県、鹿児島県に自社工場を持ち、全国に展開する。常川本部長は「コンベヤー部品の国内シェアはおよそ半分を占める」と言う。  競争力を高めるために自社工場の自動化を推進してきたが、多品種少量生産への対応が課題だった。専用機で対応すると段取り替えが煩雑で、使い勝手が悪い。結果としてコストパフォーマンスが落ちてしまい、導入のハードルが高くなってしまう。常川本部長は「わが社の工場を自動化する時には、品種の多さや操作性で非常に頭を悩ませた」と振り返る。打開策となったのが、ロボットの導入だ。ローラーの切断、溶接作業やベアリングの組み込み作業などをロボットに任せることで、自社工場の自動化を実現した。

自社工場のロボット自動化を事業に

ロボットSI事業専用の工場は宇治にある

 自社工場にロボットを導入した経験を生かしてアルフィスを立ち上げた。アルフィスの名称は「Automation for Lab and Factory Integrated System(オートメーション・フォー・ラボ・アンド・ファクトリー・インテグレーテッド・システム=ラボや工場のための自動化システム)」から頭文字を取って生まれた。  常川本部長は「わが社は『日本の製造業を元気にしたい』をテーマに、顧客が抱える課題の解決を全社で推進してきたが、ロボット分野に進出しても根底は変わらない」と話す。  アルフィスを立ち上げた当初は設備メーカー向けの案件が中心だった。しかし、さまざまな産業へ提案する中で、特に人手不足に苦しむ食品業界向けの自動化が必要と実感。パラレルリンクロボットを使った自動化事業を持つ企業とM&A(企業の買収・合併)をし、食品業界や医療品業界の自動化のノウハウを得た。  M&Aで新たに加わったパラレルリンクロボットの事業は、数社の手をわたりながら継続してきたもので、これまでに累計700台以上のロボットを食品業界や医療品業界に納入してきた。ロボットハンドの開発実績も豊富だ。  高速ピック・アンド・プレースの領域でパラレルリンクロボットをいち早く商用化したのがデモレで、日立精機(当時)が1995 年に輸入販売したのが日本でのパラレルリンクロボットの始まり。国内ロボット業界にとり画期的な出来事の一つとなった。この流れをくむのがJRCのパラレルリンクロボット事業で、「三品(食品・化粧品・医薬品)産業は自動化がそこまで進んでおらず、ロボットが進出できる余地がある」と常川本部長は話す。

SIer同士のつながりを

「パレタイズやピッキングの自動化に加えて、今後は自動機のOEM生産にも力を入れる」と常川本部長

 「これまでM&Aや人員増強で事業領域を拡大してきたが、今後もその方針を継続する」と常川本部長は言う。  事業領域の拡大に加え、アルフィスの認知度の向上も目指す。「現在は寄せられる数多くの引き合いに順次対応しているところ。今後、ウェブマーケティングに詳しい人材を採用するなどして広報活動に取り組み、アルフィスの認知度を高めていきたい」と語る。  顧客だけでなく同業者からの認知度の向上も目指す。「同業者は単なるライバルでなく、連携して互いにさらなる案件獲得につなげられるパートナーになり得る。これからはSIer同士の横のつながりを構築していきたい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)

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