• インタビュー
2021.02.02
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ロボ専用の「手持ち」機械工具で自動化提案を本格化【前編】/日東工器 石澤正光常務執行役員

力加減の難しさは、既存製品の良さで解消

「ベルトン」は、たわみが特徴

――作業者用の機械工具をロボットが持てるようにしたのですね。  既存製品の長所はロボット用にも生かしました。ベルトンは研磨用ベルトがたわむのが特徴です。このたわみで、対象物の角のカーブ形状も研磨できる。また、対象物にベルトを押し当てる際の力加減が厳密でなくても、たわみが緩衝して研磨できます。この作業性をロボット用でも実現したので、ロボットの動作をプログラムする教示作業も厳密でなくて済み、簡単にできます。さらに、力加減を調整する機器をロボットとベルトンの間に加えると、より用途も広がると考えます。

――残りの2製品の特徴もお願いします。  エアソニックは細かな研削作業に向きます。例えば、ベルトンでも用途に挙げたバリ取り作業ですが、エアソニックは切削加工した穴の縁などの細部に使われます。先細りのテーパー形状の先端工具で狭い隙間を狙ったり、円筒型の工具でやや広い範囲を研削するなど、先端工具を交換することで幅広い場面で使えます。

回転サンダー「自動機用オービルサンダー」とロボットを組み合わせた例(提供)

――オービルサンダーはいかがでしょう。  オービルサンダーはベルトンよりも広範囲の表面研磨用です。研磨部分がスポンジ状のため、既存の作業者用では、表面に傷をつけにくいのが特徴でした。ロボット専用では、ロボットとオービルサンダーの間に力加減を調整する機器を入れることで、作業者以上に磨いた跡を残しにくいシステムを構築できるでしょう。 ――既存製品をそのままロボット向けにした理由は。  2年前にロボットに対応した製品の開発を本格化しました。その際に、現場の顧客の声を考えると、「まずは人手の作業をそのまま置き換えられる製品ラインアップをそろえた方がいい」と判断し、既存製品をロボット用に再設計しました。人手作業とロボットを使った作業のやり方がかけ離れてしまえば、顧客が人手作業で長年培ってきたノウハウなどをロボットシステムに盛り込む余地がなくなる。それは避けたかったため、このような方針を採りました。

「想定以上の反響」と話す石澤正光常務執行役員

――顧客の反応はいかがでしょうか。  上々です。発売して1カ月ほどで、想定以上の問い合わせや反響がありました。特に作業者用の製品をロボットに持たせていた顧客は「すぐにでも欲しい」と。ただ、実はロボット専用の製品はこの3製品が初めてですが、以前からロボットを使った自動化を提案しています。その際も人が使う道具をロボットに持たせて作業するシステムで、その時の経験が新製品開発にも生き、新製品の企画や開発もスムーズに進みました。 ――開発の経緯や今後の戦略などは、後編でお願いします。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

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