産ロボに新たな役割か? 工作機械との違い一層鮮明に
鍵は自動車産業
理由は産業構造だろう。両者とも輸出が約6~8割を占め、うち4割程度が中国向け。 業種別に見ると、工作機械は「一般機械」の比率が最も高いが、その機械の最終仕向け先までを考えると自動車や電気・電子、半導体関連が多くを占める。 ロボットも同様で、国際ロボット連盟によると業種別の世界のロボット販売台数は自動車と、半導体も一部含む電気・電子の上位2つで約6割を占める。 主要な取引相手国も業種も似ているのであれば、影響を受ける景況の動向も変わらない。 ある業界関係者は、その中でも自動車産業の影響が大きいとみる。完成車メーカーのOBは「自動車への依存度は両者とも高い。工作機械は駆動系向け、ロボットは車体向けと具体的な用途は違うが、全体の大まかな傾向としては一致する可能性も。ただ相関係数が0.78もあるとは思わなかった」と驚く。
コロナでより大きな差も?
その自動車業界だが、18年後半から中国を中心に全世界で落ち込む。グラフを見ると、その動きと同期するように日工会受注額は下向きの線を描く。一方、JARA生産額は18年以降も大きくは下げていない。実はグラフの中で直近の20年1~3月期が、最も差は大きい。 この違いは、ロボットの用途の広がりと自動化需要の高さと推測できる。産業用ロボットは、直近2年ほどで物流や食品などの業界でも本格的に使われ始めた。さらに今後は、新型コロナウイルス対策としての自動化需要も期待できる。 これまでは相関性が見られたロボットと工作機械。だが、ロボットの推移が持つ意味合いが、今まさに変わる時なのかもしれない。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)