【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.8]次世代技術、続々【前編】
力覚センサー搭載で力を加減
NEDOと埼玉大学は昨年12月、世界で初めてハイダイナミックレンジ(HDR)力覚センサーを使った組み立てロボットの開発に成功した。 従来比10倍となる10g重から20kg重までの力の検出範囲(ダイナミックレンジ)を持つセンサーと、微小な力感覚を認識する人工知能(AI)技術を新たに開発。それらを搭載したことで、ロボットがわずかな力を調整しながら繊細な組み立て作業ができるようになった。 力覚センサーを搭載することで力加減を調整しながら高度な組み立てを実現するロボットが増えたが、力覚センサーのダイナミックレンジが狭く、微小な力の計測や、細やかな力加減ができないことが大きな課題だった。産業分野で省力化を進める上で、高性能な力覚センサーを使った組み立てロボットの開発と導入が期待される。 微小な力から大きな力まで広い範囲で検出できるHDR力覚センサーはワコーテック(富山県高岡市、岡田和廣社長)と協力して開発。従来の10分の1の力まで検知でき、樹脂のような傷つきやすい素材でも、力を抑えて組み立てられる。また、微細な力情報に基づく機械学習を使った人工知能(AI)技術で組み立ての状態を正確に認識できるようになり、より高度な組み立て作業ができる。
このセンサーを搭載したロボットは極めて敏感な力感覚を持ち、羽根のような物でロボットに触れてもそれを検知できる。重量30kgのロボットでありながら羽根1枚で操作することができる。 今後は、特に樹脂素材や割れやすい素材の組み立て、複数の手順で構成されるような複雑な組み立てにこの技術を応用する予定だ。組み立て動作の完了を知らせるクリック動作も検知でき、ロボットでの組み立て作業の高度化が期待できる。
(ロボットダイジェスト編集部 芳賀崇)