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2024.06.05

トルク容量の高さと豊富な減速比が特長の「中実タイプ」の減速機を発売/ニッセイ

減速機や小型歯車を製造、販売するニッセイは今年4月、減速機「UXiMO(アクシモ)」ブランドの第三弾「中実タイプ」を発売した。産業用ロボットや各種FA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)機器、無人搬送車(AGV)や自律走行型搬送ロボット(AMR)などが主なターゲットだ。偏心揺動型の差動減速機構によるトルク容量の高さと豊富な減速比が特長で、ロボットなどの小型化に役立つ上、設計の自由度も高められる。

UXiMOブランドの第三弾

UXiMOシリーズの関係性(提供)

 ニッセイはUXiMOブランドの第一弾「大口径中空タイプ」、第二弾の「扁(へん)平・軽量タイプ」に続く第三弾として、中実タイプの減速機を今年4月1日に発売した。
 今回新発売した中実タイプの減速機は、これまでのUXiMOシリーズと同様に高トルクを維持しつつ、豊富な減速比をラインアップするのが特長だ。中実タイプには中空タイプのような中心部の空洞がなく、その分コンパクトになっている。

 

中実タイプの減速機の概要(提供)

 外径73mmの製品では19分の1、29分の1、49分の1、79分の1、99分の1の5タイプの減速比をラインアップしており、79mmと93mmでは119分の1を加えた計6タイプと低減速から高減速まで豊富な減速比を取りそろえる。
 また、出力軸と主軸受けを兼用させたアンギュラベアリングを採用したことで部品点数を減らし、薄型化や軽量化を実現した。

開発担当の稲垣光明チームリーダー(左)と木下春香さん

 減速機事業部開発二部RC開発課の木下春香さんは「中実タイプは従来シリーズよりも豊富な減速比を取りそろえた。このサイズ感で、低減速比の製品はあまりない」と話す。通常は減速機に外付けする入力軸用のベアリングを内蔵するなど、減速機の薄型化も図った。そのため、産業用ロボットや搬送ロボット、自動化装置の小型化に役立つ上、これまで以上に設計の自由度も高められる。

 また、競合他社の多くが波動歯車機構を使った減速機を販売する中、剛性やトルクを高めるためにUXiMOシリーズには3タイプ共通で偏心揺動型の差動減速機構を採用。偏心揺動型の差動減速機構とは、クランクシャフトからの回転を受けて、遊星ギアが内部のインターナルギアに沿って回転しながら自らも回転し、その動力を出力軸に伝達する機構だ。遊星ギアがインターナルギアと噛み合って回転し、その歯数差によって回転が減速され、トルクが生じる。

 減速機事業部開発二部RC開発課の稲垣光明チームリーダーは「減速機業界の中では後発組に当たる。差別化を狙うため、波動歯車機構ではなく差動減速機構を採用し、剛性やトルクの高さを追求した」と話す。

展示会や特設サイトで認知度を向上

今年4月に発売した中実タイプの減速機(提供)

 UXiMOブランドの開発当初のメインターゲットは産業用ロボットだったが、現在はAGVやAMRメーカーからの引き合いも多く、工作機械メーカーにも導入実績がある。

 営業統括営業企画部RC企画課の岡本浩平課長は「もともと、ロボットのさまざまな部位に使えるように、第一弾を開発した当初から第三弾までラインアップを広げることはロードマップとして描いていた。その中でも、今回発売した第三弾はロボットの関節部向けに開発した。産業用ロボット向けでは一部のメーカーとはテストが完了し、自社工場で使用する内製ロボットなどに採用され始めた。また発売当初はAGVの用途を想定していなかったが、現在は一部のメーカー向けに量産も開始している」と手応えを語る。しかし、「後発組のため、競合がひしめき合う減速機の業界で新規ユーザーを獲得するのは、なかなかハードルが高い」とも明かす。

ロールプレイングゲームを彷彿とさせる会社ホームページ内の特設ウェブサイト

 そのため、直近の課題はUXiMOブランドの認知度を市場でいかに高め、販売拡大につなげるかだ。同社は今後、日本国際工作機械見本市(JIMTOF)やロボットテクノロジージャパン(RTJ)などの展示会でUXiMOシリーズの第一弾から第三弾までを披露し、ブランドの認知度向上を目指す。
 また、2021年には会社のホームページ内に特設ウェブサイトを開設。UXiMOブランドの特徴に加え、開発過程などを紹介し、随時最新情報を発信するなど、多角的にPR強化を図る。

(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)

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