軟らかいものをどうつかむ? ~ソフトハンド開発動向【前編】
商社も注目
機械工具商社の安藤(名古屋市昭和区、安藤仁志社長)は、中国のロボットハンドメーカーが開発した「Aハンド」を輸入販売する。生卵の黄身だけをつかめるほど軟らかい物のハンドリングに長けながら、先端の部品を組み替えることで最大9kgまでハンドリングできる。 エムグリップやソフマティックスと同じくエアで駆動する多指ハンドだが、Aハンドは用途が広く、自動車や電気製品、食品、医療、アパレルなどで使える。FDA規格も取得済みだ。 グリッパー形状は、がっちりつかめる「フィンガータイプ」と、小物をはさんでつかむ「くちばしタイプ」の2種類を用意。つかむ対象の硬さや形、重さに合わせて指を増やしたり並びを変えることができる。 現在、顧客に試験的に貸し出している段階で、販売はこれから。食品業界からの引き合いが多いが、今後は金属加工業への提案を考える。安藤社長は「使い手の発想次第ではAハンドの可能性は無限大」と自信を見せる。
製品の共通点多い
製品化されたソフトハンドを3つ紹介したが、共通点は多い。複数の指ではさんだりつまんだりしてつかむことや、エアで動作すること。また、グリッパーの構成を変えられること、日本や米国で安全性の認証を受けていることなど、たくさん挙げられる。 信頼性の高い既存の技術をベースにしながらも、それぞれに特徴ある製品となっている。特徴ある製品が多数登場すれば、今後ロボットユーザーの視点は、ソフトハンドを使いこなすノウハウやアイデアへと移っていくだろう。 後編では、研究開発中の新しいソフトハンドを紹介する。既存の製品の弱点を補ったり、汎用性を高めたりするため、各自ユニークな発想で取り組む。
――後編に続く (ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)