[注目製品PickUp!vol.23]プログラムは自分で!ハイエンドの取り出しロボット【前編】/ハーモ「HRXⅢ-iシリーズ」
複雑な動作でも自前で
iシリーズの最大の特徴は、ソフトウエアにある。専用コントローラー「HRS-1500i」に「スマートプログラム」と呼ばれる、ユーザー自身でプログラミングができる機能を搭載した。 エアを吹きながら取り出したり、成形品を取り出した後に離型剤を塗布したりするなどの複雑な動作を取り出しロボットにさせる場合、ユーザーは従来、同社にプログラミングを依頼していた。 簡単なプログラムならユーザー自身ですることもあるが、細かなプログラムになると同社に発注するケースが多いという。 「日本のユーザーは欧米に比べると、自分でプログラムを組む割合が少ない。金型などに傷を付けたくないとの考えが強く、プログラミングはメーカーに任せることが多い」と河口課長は述べる。 しかし、それでは時間がかかり、急な依頼にはすぐに対応できなかった。こうした時にユーザー自身で細かなプログラムまで作れればより迅速な対応ができると考え、同社はスマートプログラムを開発した。iシリーズを導入した後に、何か複雑な動作を追加する際にも、スマートプログラムがあればユーザー自身で柔軟に対応できる。 また、金属部品などを事前に金型に入れてから樹脂を充てんするインサート成形など、部品供給機をはじめとした成形機以外の装置との連動が必要になる成形にも、iシリーズは力を発揮するという。
取り出し以外にもさまざまな役割
河口課長は「現在、取り出しロボットには成形品の取り出しに加え、①見る②切る③入れる④組み立てる――の4つの付加価値が求められる」と語る。 ①はカメラと組み合わせた成形品の検査、②はゲート(成形品に樹脂が流れこむ入り口)のカット、③はインサート成形への対応、④は簡単な組み立てをそれぞれ表す。 「樹脂製品の生産現場では人手不足が深刻で、成形品の取り出し以外にもさまざまな役割をわが社の製品に求める顧客が増えた」と河口課長は分析する。その代表例が①~④だ。 スマートプログラムが搭載されたiシリーズは、ユーザー自身のプログラミングで取り出しロボットを細かく制御できるため、こうしたニーズに柔軟に対応できる。 ここまでは製品特徴を紹介した。後編では、iシリーズのターゲット市場や、iシリーズを中心とした同社のソリューション提案を紹介する。
――後編に続く (ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)