[注目製品PickUp!vol.12]2m四方のサイズも‼ カスタマイズ自在な真空グリッパー【前編】/シュマルツ「SPZ/SSP」
真空グリッパー初のカスタマイズ品
衝撃の少ない速度で大量に
吸着以外の機構で用途を広げる
SPZでは吸着機構にメカ式のサポート機構を組み合わせて、用途に合った最適なシステムを構築する。例えばサポート機構の一つであるフックは、パレタイズやデパレタイズで威力を発揮する。 パレタイズでは最初に、段ボールを載せるパレットを用意する。一般的な樹脂製のパレットは軽量化のため、格子状の骨格のみの構造で、真空搬送は難しい。フックがあれば、パレットを物理的に引っ掛けて持ち上げられ、搬送できる。パレットの準備から段ボール箱のパレタイズまで、グリッパーと付け替えずにSPZだけで作業できる。デパレタイズはその逆で、荷降ろし後にパレットを片付けられる。 また、特殊なシートで側面を覆い、メカ式のアームで押さえてから吸着するオプションもある。シート内を真空状態にすることで、大量の対象物を吸着しても荷崩れしにくいという。動画では、下面が段ボール、上面はラップやビニール材で覆われたビンやペットボトルのケースを、一度に複数持ち上げた。
3500点以上から選ぶオーダー品
薄い板金を1枚ずつ持ち上げる
最近の採用例では、板金加工の自動化が特徴的という。薄い板金が何枚も積み重なる状態で一番上の1枚を持ち上げると、下の板も離れずに持ち上がってしまう場合がある。そこで1枚だけを持ち上げるため、メインの吸引面とは別に補助の吸着装置を付け、片側から徐々に持ち上げることでこの課題を解消した。 見学者からは驚きの声が挙がるという。「この方法の実現には真空グリッパーの機能も必要だが、ロボット本体の動作も含めたシステム構築が重要。当社が持つ真空吸着の長年のノウハウと、世界各地の事例や知恵を結集したからこそできた」(ゲッテゲンス社長)。 この事例のようなロボットの動作も含めたエンジニアリングが、新たに目指すビジネスモデルだ。後編ではその意図を聞いた。
――後編に続く (ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
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