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2025.06.27
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[SIerを訪ねてvol.57]低価格のロボットで小規模企業にも自動化を/YATOMIエンジ

ロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)を紹介する連載企画「SIerを訪ねて」。今回は航空機部品の製造ライン向け制御システムを祖業とするYATOMIエンジ(ヤトミエンジ、愛知県弥富市、高野知幸社長)を紹介する。2021年にSIer事業に参入し、航空機関係や自動車関係に向けてロボットシステムを納入してきた。また、24年に中国の協働ロボットメーカー「FAIRINO(ファイリノ)」の特約店となったのを皮切りに、大規模な設備投資が難しい小規模企業への自動化提案も強める構えだ。

ビジョンシステムを使った自動化が得意

 YATOMIエンジは大手航空機メーカーの部品製造ライン向けの制御システムの構築や、そのメンテナンスを祖業とする。21年からはSIer事業に参入し、主に協働ロボットシステムの構築を手掛けてきた。

 小規模な企業ながらも、システムの構想設計から機械設計、電気設計、組み立て、据え付けまで自社で一貫して対応する。キーエンスや中国のMech-Mind(メックマインド)のビジョンシステムを使ったコンベヤートラッキングの他、ばら積みピッキング、自律走行型搬送ロボット(AMR)を連携させたハンドリングシステムの構築などを得意とする。主な取り引き先には航空機関係や自動車関係の大手メーカーが名を連ねる。

 今までファナックをはじめ、中国のJAKA(ジャカ)やElite Robot(エリートロボット)、デンマークのユニバーサルロボットなどさまざまなメーカーのロボットに対応してきた。また、Keigan(ケイガン、京都府精華町、徳田貴司社長)やオムロン、Preferred Robotics(プリファードロボティクス、東京都千代田区、礒部達最高経営責任者<CEO>)、中国のIPLUSMOBOT(アイプラスモボット)のAMRへの対応実績も多数ある。

 高野知幸社長は「プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)の扱いやPython(パイソン)を含むプログラミング言語にたけた人材がいるのが強み。少人数でも一貫して自動化システムを構築できる」と胸を張る。

コロナ禍を機にSIer事業に参入

 YATOMIエンジがSIer事業に参入したのは新型コロナウイルス禍がきっかけだった。「コロナ禍で航空機需要が落ち込んだが仕事は何とかあった。しかし、いずれなくなるのではという危機感があり、昔ロボットに携わった経験を生かして事業を立ち上げた」と高野社長は振り返る。そこで、比較的競合が少ない協働ロボットのSIer事業をスタートした。

  高野社長は「案件としては航空機関係向けが一番多く、次いで自動車部品メーカーにもさまざまな協働ロボットシステムを納入している」と話す。

開発スペースには各種メーカーの協働ロボットやAMRが並ぶ
YATOMIエンジは協働ロボットとAMRを連携した自動化システムを得意とする
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