食品工場の自動化を後押し/Closer
筑波大学発の人工知能(AI)ロボティクスベンチャーのCloser(クローサー、茨城県つくば市、樋口翔太社長)は食品の生産ラインで調味料袋などをコンベヤー上に投入する自動化システムを提案する。人と同じくらいの作業スペースで包装された製品のピック&プレースなどを自動化できる。創業から2年目だが、インスタントみそ汁の生産ラインへの本導入が決まった。
食品工場の自動化・省人化を
作業スペースはそのままに
樋口社長は「食品工場の自動化の課題は限られたスペースと多品種少量生産への対応、導入コストの3つ」と指摘する。ピックパッカーはそれまで人が作業していたスペースに導入できる。架台はキャスター付きで、1人で簡単に移動できる。 複数の製品の作業を事前に登録しておけるため、切り替えたい場合はタッチパネルで操作するだけで良い。誰でも使えるよう直感的な操作ができるデザインにした。独自開発したAI画像処理システムにより、透明な袋や金属蒸着した鏡面の袋なども認識できる。 導入時のコストについては「ソフトウエアやコントローラー、ロボットとの接続などシステム全体を一貫して開発しているため価格を抑えられる」(樋口社長)と話す。ロボットアームはファナックやデンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)などの製品に対応する。 食品の梱包や箱詰めなどの作業に悩む企業の反応は良い。2月に本社で食品工場を持つ企業向けに自動化システムのデモを披露した。そのうち1社の商品を実際に使ってピック&プレースを見せたところ、「生産ラインを簡単に自動化できる今までになかった解決策」と好評だったという。