米国展示会で見た!自動化提案の最前線/米国国際製造技術展(IMTS)【前編】
米国最大級の工作機械の展示会「米国国際製造技術展(IMTS)2018」が2018年9月10日~15日の6日間、イリノイ州シカゴで開催された。6日間で過去最高の12万9415人が来場し、大いににぎわった。今回のIMTS2018では、人手不足が深刻な北米市場のソリューションとして、ロボットなどと工作機械を組み合わせた自動化システムの提案が圧倒的に目立った。
出展者、来場者ともに過去最高
自動化システムの提案が圧倒的
工作機械とは一般的に、金属の塊を削って目的の形状を作り出す機械を指す。簡単に言えば、機械の部品などを作るための機械だ。 IMTSは東京で開かれる日本国際工作機械見本市(JIMTOF、ジムトフ)、欧州で開かれるEMO(エモ)と並んで「世界3大工作機械見本市」と呼ばれる。
今回のIMTS2018では、工作機械や関連機器の新製品などが多数見られたが、何と言っても今回展の最大の見どころは「自動化ソリューション」だろう。 ロボットやローダー、パレットチェンジャーなどの各種自動化機器と工作機械を組み合わせた自動化システムが至るところで展示されていた。 一定規模の工作機械メーカーであれば、最低1つは何らかの自動化システムを展示していたと言っても過言ではない。 IMTSは先ほどのJIMTOFやEMOと比較して、次世代技術の提案よりも受注を取りたい製品を展示するビジネスショーの色合いが濃い。 それだけに、工作機械が使われる金属加工の現場に合った、実用的な自動化システムが数多く見られた。
失業率は歴史的低水準
IMTS出展各社の具体的な自動化提案に移る前に、米国の自動化ニーズの現況をひも解く。米国も日本と同様、人手不足が深刻だ。 米国の主要な雇用統計の一つで、労働力人口に占める失業者の割合を示す失業率は、グラフからも読み取れるようにここ最近は非常に低い水準で推移している。 18年10月5日に米国の労働省が発表した資料によると、18年9月の米国の失業率は前月から0.2ポイント低下の3.7%と、実に48年ぶりの低水準にまで改善した。 裏を返せば、それだけ人手が不足しており、自動化のニーズが高まっているとも言える。金属加工の現場も当然、人手が足りておらず、IMTS2018ではこの問題を解消する自動化システムの提案が圧倒的だった。 加工前の材料を工作機械に取り付けたり、加工後の材料を取り外したりする脱着作業など、従来は人がやっていた作業工程をロボットやローダーに置き換える“省人化のための自動化提案”が特に目立った。