[SIerを訪ねてvol.41]ロボット活用の近道を作る/iCOM技研
今回紹介するiCOM技研(アイコム技研、兵庫県小野市、山口知彦社長)は、ユニバーサルロボット(UR)の協働ロボットを使った自動化システムの構築に強みを持つ。これまでの自動化のノウハウを基に、自動化システムのパッケージ化にも取り組む。2022年からは人工知能(AI)とビジョンセンサーを使ったティーチング(教示)レスシステムの研究開発を始めた。来年には研究開発施設として、「AI Robotics Labs(AIロボティクスラボス)」をオープンし、ティーチングレスシステムの研究に加えて、人材育成用教材パッケージの試作にも力を入れる。
ソフトで差が付く時代に
パッケージ化で新規市場を作る
同社はパレタイズと研磨、溶接の自動化システムを構築することが多い。そのノウハウを基にパレタイズは「i Palletizer X(iパレタイザーX)」、研磨は「i SandingMaster(iサンディングマスター)」、溶接は「i ArcWeld(iアークウェルド)」としてパッケージ化した。 「例えば研磨はこれまで作業や部品を限定すればロボットでの自動化ができたが、わが社の発売したパッケージは研磨する箇所を選ばない汎用性の高さを重視した」と山口社長。「人は誰しも近道を覚えたら遠回りをしなくなる。ロボットを使えば苦労していた作業も簡単にできるという近道を教えるのがわれわれの仕事」と力を込める。 各パッケージの中で引き合いが多いのは、研磨のiサンディングマスターと溶接のiアークウェルドだ。溶接は複数の国内メーカーが専用の産業用ロボットを開発して競い合う環境下にある。「協働ロボットによる溶接はどれだけ需要があるのか探っている状態。一方、研磨に力を入れているロボットメーカーはあまりなく、競争力を持って新規市場を開拓できる可能性がある。現在販売しているパッケージは平面研削のみに対応するが、円筒の表面やパイプの内面を研磨できるシステムも開発している」と山口社長は語る。