[活躍するロボジョvol.27]生産技術は難しい。だからこそ、楽しい/シチズン時計 高橋怜奈さん
初のリーダーで得た経験とは
上司の干川祐一課長は高橋さんをリーダーに選んだ理由を「今回のシステムには、完成度の高いビジョンシステムと緻密なロボット制御が必要と事前に想定していた。ロボットとビジョンシステムに関する彼女の知見を生かせると考えた。さらに、システム全体を見渡して案件を進めるという、新たな経験を積んでほしい思いもあった」と明かす。 見事に量産工程に導入できるまでシステムの完成度を高めたが、高橋さんには反省点もある。 「メンバーに仕事を割り振る際に、事前に担当範囲を明確にして意図を伝えていれば、もっとスムーズに開発できたのに。『わかるだろう』と思わずに細かな指示を出し、時には世間話や雑談も重要と気付きました」(高橋さん)。
先進技術で課題解決を
高橋さんは、生産技術を開発する製造技術センターの製造革新部製造革新課に所属する。 同課では主に、産業用ロボットやデジタル技術などの先進技術を使い、生産性向上や省人化に向けた生産技術の開発を手掛ける。 同社ではグループの生産子会社を含めて、国内外の各生産拠点にも、生産技術者がいる。ただ、各拠点の生産技術だけでは対応が難しい課題もある。 そういった課題の解消に向け、各拠点から依頼された要件を基に、先進的な技術を使った生産システムを開発する。まさに名の通り、同社内の「製造革新」を一手に担う。 昨今は、国内の製造業全体で人手不足が深刻となっている。 特に時計メーカーでは、生産工程で小さい部品を精密に扱う作業や検査業務が多く、不足した人員を短期契約の従業員やパート職で補うのも難しい。 そのため、同課ではロボットを使った自動化システムの製作を手掛ける機会が多いという。現在、12人が所属する。 その中で高橋さんは、産業用ロボットの教示(ティーチング)作業や光学機器とソフトウエアを組み合わせたビジョンシステムの構築などに携わる機会が多い。 高橋さんは「人間も難しいような高精度な作業を、ロボットで実現するのは当然難しい。高難度の作業にはハードウエアだけでなく、画像解析などの各種ソフトや制御などの電気系の知識も必要です。システム開発は一人ではできないので、先輩方に助けてもらいながら業務に取り組んでます」と話す。