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2021.03.17

[ロボへの道も一歩からCase.1-⑪]ロボが動く時…/サンエース編

「ロボへの道も一歩から」では、産業用ロボットを初めて導入しようとする会社を記者が訪問、その過程で起きた出来事や苦労などを紹介する。何度も足を運び、ロボットの導入までを追いかける。まだ進行中の計画を取材するため、何が起こるのか誰にも分からない。ようやくロボットのプログラムを組んで動かし始めた第11話。動きだけは完成に近づきつつあった…

ようやくステップが1段上がった

【前回までのあらすじ】
水栓金具の組み立てや検査をするサンエース(岐阜県各務原市、藤田斉社長)は、配管に使う鋳物部品「エルボ」の検査工程の自動化を目指す。システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)なしでの導入は困難を極めたが、昨年末に届いたロボットにハンドを取り付け、外側の枠を作るところまではできた。

<前回記事はこちらから>

ロボットシステムを組む斉藤さん(左)と糠谷さん

 6軸垂直多関節ロボット「VT6L」にハンドを取り付け、昇降機や検査機などの周辺装置も定位置に設置。ついにロボットシステムの全貌が明らかになった。
 3月前半に工場を訪れた時、ロボットの導入を担当する生産技術の斉藤さんと、補佐として手伝う品質管理の糠谷さんが、ロボットの動きを確認していた。

「今は指示通りにロボットが動いてくれている。ハンドとの連携はまだですが、一連の動作は問題なくできると思います」(斉藤さん)

「すごいですね。前回までは動きの一部しかできてなかったのに。プログラムを組んだんですか」(記者)

「そうですね。干渉(周囲とぶつかること)がない事を確認しながら考えて、プログラムを組みました……糠谷さんが」(斉藤さん)

プログラムを組むのは糠谷さん

「あ、糠谷さんが組んでるんですか? でも、これまでプログラムを組むような事って?」(記者)

「1回もないですね。組んでるところを見たことはありましたけど」(糠谷さん)

「結構簡単にできるものなんですか?」(記者)

「苦労はしましたけどね。かなり説明書を読み込みました。初歩的な動きは分かってきました」(糠谷さん)

「もう、バッチリですね」(記者)

「動かすだけなら…。問題はここからでしょう。トラブルが起きた時に、どのように変更するかなどが課題になると思います」(糠谷さん)

「プログラムはパソコンと同じですよ」(斉藤さん)

「使い方が分かれば誰でも使えるって意味ですか?」(記者)

「最初は誰でも使うのに時間がかかるってことです」(斉藤さん)

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