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2020.07.16

【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.9]次世代技術、続々【後編】(1/3)

次世代技術の研究開発は、ニーズの高度化やロボットの未活用分野の開拓も視野に進む。中心は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)。産官学が連携して次代を担う技術開発のプロジェクトが多数走る。直近1年間にNEDOが発表した主な研究開発の成果をまとめた。後編では従来にない機能を持つ、エネルギーを動力に変換するアクチュエーターや人工知能(AI)技術などを紹介する。

小型、高効率、高出力なアクチュエーター

開発したロボット用アクチュエーター

 NEDOは昨年10月、横浜国立大学と共同で、小型、高効率、高出力なロボット用アクチュエーターを開発した。
 このアクチュエーターは、超高減速比でも逆駆動が可能な「バイラテラル・ドライブ・ギヤ」にモーターやモータードライバーを組み込んだもので、歯車をかみ合わせたときの歯面間に遊びがないノンバックラッシ化に成功した。減速比とは、モーターの回転速度を減速する割合のこと。

アクチュエーターとそれらを連結したロボットアーム

 このアクチュエーターを組み込んだロボットアームは、関節の精密制御や外力に対して柔軟に動き、減速機のエネルギー損失を10%に低減。繰り返し動作時の消費電力を約5分の1に削減でき、モーターのセンサー情報から負荷トルクの推定もできる。
 精密位置制御、小型軽量化、省エネルギーを同時に実現できるため、今後は協働ロボットやアシストロボット、移動ロボット、産業用ロボットなどの関節部材や、電気自動車(EV)などへ幅広い展開が期待できる。

 バイラテラル・ドライブ・ギヤを採用したアクチュエーターを必要に応じて複数連結してロボットアームを作れ、柔軟なシステムを構築できる。

 バイラテラル・ドライブ・ギヤのより高い動力伝達効率と、従来では不可能だった減速比1000:1の実現などに向けて研究を継続。多くの企業への技術移転を通してロボットへ展開し、新規用途の開拓を推進するという。

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