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2020.06.03

連載

[注目製品PickUp!vol.24]拡張性、制振制御で差を付ける【前編】/セーラー万年筆「sigma5」

編集部が注目したロボット、自動化関連の製品を紹介する「注目製品PickUp!」。今回は、セーラー万年筆の取り出しロボット「sigma(シグマ)5」を取り上げる。ハイエンドモデルの取り出しロボットで、高い拡張性や高度な制振機能を備える。「低価格で勝負するメーカーではないので、性能や機能には絶対の自信がある」とロボット機器事業部東京営業所の永瀬倫哉主任は話す。

機能、性能に自信

 セーラー万年筆は万年筆やボールペンなどの文具メーカーとして知られるが、ロボットを製造、販売するロボットメーカーでもある。

 ロボット機器事業部では、射出成形機で作った樹脂部品を取り出す取り出し機(取り出しロボット)と、顧客の要望に合わせて専用に設計、製造する各種自動機・専用機の2本柱で展開する。中でも取り出しロボットは、ロボット機器事業部の売り上げの3分の2を占める事業の柱だ。

フィルムと一体成形した成形サンプル

 同社は規格量産品ではなく、顧客の要望に応じてカスタマイズした取り出しロボットを得意とする。医療機器や、フィルムと一体成形する食品容器のような高い技術が求められる樹脂部品向けに強みを持つ。

「仕様の決まった製品を量産するタイプのメーカーではないため、安売り勝負はしないが、その分機能や性能には自信がある。国内工場で製造しているので品質管理も万全」と永瀬主任は言う。

剛性アップで高い拡張性

sigma5はフレームが太く剛性が高い

 同社の取り出しロボットの主力製品は、スタンダードモデルの「sigma A」と、今回取り上げるハイエンドモデル「sigma 5」の2機種。
 シグマAと比べ、シグマ5はフレームなどの部材が太く、剛性(変形のしにくさ)の高い構造が特徴だ。

アーム先端のチャックも成形品に合わせ多種多様

 取り出しロボットは、成形品の取り出しに加え、整列や組み立て、曲げ加工、成形前のフィルムや金具の挿入など、成形品の取り出し以外にも幅広い作業ができる。

 幅広い機能を持たせるには、成形品の不要な部分を切り落とすニッパーなどさまざまなユニットをアームに取り付ける必要がある。

 「フレーム剛性が高ければさまざまな設計のチャック(アーム先端で成形品を吸着・把持するユニット)に対応でき、また多彩なオプションユニットを搭載できるため、拡張性が高い。将来使い方を替える可能性があるなら、拡張性が高いシグマ5がお勧め」(永瀬主任)。

「sigma5は拡張性が高い」と話す永瀬倫哉主任

 剛性の高い構造は、拡張性だけでなく高速性や耐久性の向上にも寄与する。シグマAの取り出し動作は1サイクル1.0秒以下だが、シグマ5の取り出し動作は1サイクル0.8秒以下。
 「負荷の小さい作業ならシグマAでも十分速いが、負荷の大きい作業なら差が出てくる」(永瀬主任)と言う。

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