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2020.03.12

使いやすく、導入しやすい中国製ロボを日本に/IDECファクトリーソリューションズ

協働ロボットに特化したシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のIDECファクトリーソリューションズ(愛知県一宮市、武仲清貴社長)は2019年12月、中国の上海に本社を置くJAKA(ジャカ)ロボティクスの協働ロボットを取り扱うと発表した。日本市場での総代理店を務める進和(東京都板橋区、倪昌浩社長)と連携し、JAKAの協働ロボットで構築したシステムを提供する。JAKAの協働ロボットはプログラミングのしやすさと導入コストの低さを特徴に持つ。これらの特徴を武器に、日本の中小企業に攻勢をかける考えだ。

中小企業の課題を解決

「協働ロボットを通し、中小企業の人手不足を解決したい」と語る武仲清貴社長

 IDECファクトリーソリューションズは①制御盤や分電盤、電気配線に使われるワイヤハーネスの設計開発を手掛ける制御システム事業②SIerとしてロボットシステムの構築を担うロボット事業③図書館の入退館管理システムなどを構築し納入する図書館事業――の3本柱で事業を運営する。

 SIerとしての最大の特徴は、安全柵なしで人と一緒に働ける協働ロボットに特化していること。ロボット事業に本格的に取り組み始めた14年以来、協働ロボットを軸に、システムの設計からアフターサービスまでを一貫して担う。

 武仲清貴社長は「ターゲットは中小企業。中小企業の一番の課題は人手不足で、操作性が高く使い勝手がよい協働ロボットを通し、この課題を解決したい」と意気込む。

総代理店の進和と連携

JAKAロボティクスが開発した協働ロボット

 ファナックの緑色の協働ロボットをはじめ、デンマークに本社を置く協働ロボットメーカーのユニバーサルロボットの各製品群、ドイツのKUKA(クカ)や安川電機の製品など、同社が取り扱う協働ロボットは多岐にわたる。

 そして19年12月には、中国の上海に本社を置くJAKAロボティクスの協働ロボットも新たに取り扱うと発表した。日本市場での総代理店を務める進和と連携し、JAKAの協働ロボットで構築したシステムを提供する。
 JAKAロボティクスは「ロボットにより人間の両手を自由にする」ことを使命に掲げた協働ロボットの専業メーカー。上海交通大学のロボット研究所を母体に、14年に中国で創業した。
 
 JAKAの協働ロボットは3kg可搬の「JAKA Zu3」、7kg可搬の「JAKA Zu7」、12kg可搬の「JAKA Zu12」の3タイプがある。
 武仲社長は「中国では18kg可搬の『JAKA Zu18』も発売しており、日本でも近いうちにリリースする。また今年1月末には、土台部分にトルクセンサーを搭載した上位モデルの『JAKA Sタイプ』も発表された」と話す。

コンセプトは「誰でも簡単に」

プログラミングがしやすく、導入コストも低いJAKAの協働ロボット

 JAKAの協働ロボットの強みはプログラミングのしやすさにある。
 協働ロボットの動作プログラムの作成には、「Scratch(スクラッチ)」と呼ばれるプログラム言語をベースとしたソフトウエアを使う。スクラッチは小中学生のプログラミング教育に使われるだけあり、直感的かつ簡単にプログラムを作成できるのが大きな特徴だ。

 武仲社長は「JAKAロボティクスのコンセプトは、誰でも簡単に使えること。大学との結び付きが強いので、教育用のプログラム言語を使うなどプログラミングには優位性がある」と強調する。

直感的かつ簡単に動作プログラムを作成できる

 低コストで導入できるのも売りだ。
 最大可搬質量が10kgで6軸タイプの一般的な協働ロボットと比べると、市場価格は3分の2程度に抑えられるという。

 協働ロボットを使ったロボットシステムを構築するうえで、一番の壁になるのはコストだ。
 「協働ロボットは人の代わりに使うケースが多く、顧客からのコスト面での要求は厳しい。月額で10万円以下、つまりパートやアルバイトの月給の水準で導入したいと考える企業が多い」と武仲社長は説明する。

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