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2019.11.20

連載

[注目製品PickUp! vol.19]同業者も驚く特殊構造で、いろんな物を吸着する【前編】/妙徳「バルーンハンドSGBシリーズ」

多種多様な対象物を吸着できる真空式のロボットハンドが、妙徳(東京都大田区、伊勢幸治社長)の「バルーンハンドSGBシリーズ」だ。特殊構造の吸着パッドが対象物に密着する。球面でも箱の角でも不定形物でも、吸着部分の真空を維持できる。当初は食品業界向けに提案したが、展示会などでは幅広い産業から関心が集まる。泉陽一執行役員は「真空発生器の開発から約40年間で培った技術を随所に生かした一品」と胸を張る。

40年前から真空機器に特化

 妙徳は1951年に創業した。当初は産業機器向けの部品加工メーカーだったが、業務拡大の一環で自社製品の開発を始めた。

 約40年前に、気体を圧縮して送り出すコンプレッサーで作った圧縮空気により吸引力を生む真空発生器「CONVUM(コンバム)」を開発。以後はコンバム本体や真空パッドなどの真空吸着の関連製品に特化した。

多様なものに密着する吸着パッド

SGBを付けたロボット稼働の様子

 真空吸着の機器に特化してきた同社の技術やノウハウを生かした製品が「バルーンハンドSGBシリーズ」だ。2018年初旬に発売し、現在リピート受注を中心に売り上げが伸びているという。
 一番の特徴は、多種多様なものを吸着して把持できること。特許を取得した特殊構造の吸着パッドが、対象物の形状を問わず密着するため、空気漏れしにくい。対象物が吸着パッドよりも大きく、空気を通さないものであれば、幅広い形状に対応する。箱型であれば、平面部はもちろん、角の部分でも密着する。円筒形や球体も吸着できる。国松孝行営業部長は「従来は吸着しにくかった対象物や不定形物も、持ち上げられる」と胸を張る。

 一般的に吸着パッドはスポンジ製を除けば、ゴムやウレタンの一層構造で吸盤や蛇腹状のものが多い。バルーンハンドSGBシリーズの吸着パッドはゴム製で、環状になっている。名前の通り、稼働時にはパッドを風船のように膨らませて対象物に接する。風船部分の内部の空気圧を調整することで、適度に軟らかな状態になり、さまざまな形状に密着する。

  • SGBの吸着面。ドーナツのような環状の吸着パッドを持つ。

  • 取り外した吸着パッド。この環状部分に空気を入れる

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