生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2019.11.08

イベント

[海外展リポート]ロボットに何をさせる? 欧州の工作機械見本市での提案【前編】/EMOハノーバー2019

欧州国際工作機械見本市「EMO(エモ)ハノーバー2019」が9月16日~21日の6日間、ドイツ・ニーダザクセン州のハノーバー国際見本市会場で開かれた。欧州では人手不足が深刻化しており、自動化や省人化の提案が目立った。工作機械がメインの展示会で、ロボットはどのような作業をしたのか。ロボットの作業内容に焦点を当てる。

自動化が盛りだくさん

会場内に設置された巨大なモニュメント

 EMO2019には世界47カ国・地域から2211社が出展した。展示面積は昨年の「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」の3.6倍の約18万㎡で、JIMTOFと同様に世界四大工作機械見本市の一つとされる。

 EMO2019で目立ったのが、工作機械と産業用ロボットを組み合わせた展示だ。来場者の中には「まるでロボット展に来たようだ」と例える人もいた。

超大型ロボットを直動の搬送台に搭載

ファナックは協働ロボットなど多数の製品を展示した

 ブースで多くの産業用ロボットを展示したのが、ファナックだ。協働ロボットを含む10機種以上のロボットを稼働展示し、幅広い製品群をアピールした。内田裕之副社長は「欧州は自動化意欲が高い。わが社の幅広いレパートリーの実演が顧客のヒントになれば」と意図を話す。

 大規模な展示会で同社は、可搬質量2000kg級の超大型ロボットに航空機エンジンや自動車など巨大な工業製品や部品を持たせて展示するのが恒例。EMO2019も例外でなく、超大型ロボット「M-2000iA」が船舶用のエンジン部品を持ち上げてみせた。

直線運動する搬送台に据え付けられたファナックの超大型ロボット「M-2000iA」

 ただ、いつもの展示と異なる点もあった。従来は展示会場の床面にロボットを直接据え付けるケースが大半。今回はロボットを直線運動する搬送台に据え付けた。つまり、部品を持ったロボットごと移動できる。

 例えば、ロボットが加工機から加工物を取り出して、搬送台ごと移動した上で、また別な加工機に加工物を取り付けることが可能になる。一般的に工作機械と組み合わせるようなサイズのロボットであれば、よくある使い方だ。しかし、同2000kg級のロボットでの実演は、非常に珍しい。

ロボットを加工に使う

KUKAは、ロボットで自動車のエンジン部品の加工を模した実演

 ドイツのロボットメーカーKUKAは、ロボットによる加工を提案した。切削や研削加工をするロボットシステムを披露。垂直多関節ロボットの先端に回転機構を付け、切削工具や砥(と)石などを付け替えて加工する。会場では自動車のエンジン部品の加工を模した実演をした。

 担当者は「工作機械ほどの精度は出ないが、粗い加工には十分使える」と胸を張る。また、メリットとしてロボット1台で幅広い加工ができる。例えば、ロボットの周囲に加工物を並べると、ロボットの向きを変えるだけで次々に加工ができる。搬送台に載せれば、工作機械には収まらないほど大きな物を加工することも可能で、船舶や航空機の部分的な修理を直接できる。工作機械にはできない使い方だ。

TOP