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2025.12.13
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[特別企画 密着!高校生ロボットSIリーグvol.7]供給装置の方向性決まる/愛知総合工科高校

“本気”の議論

 10月の顔合わせから1カ月後。11月中旬の課題研究でもサポーターとの顔合わせが予定されていたため、記者も進捗を確認するために愛知総合工科高校に行った。

 「先月(10月)、供給装置がコイル型スプリングに決まってから、何か進んだのかな」と思いながら、ロボットシステムが設置されている実習室に入ると――。

コイル型スプリングの試作機が搭載されたロボットシステム

 供給装置の試作機が既にロボットシステムに搭載されていた。

 たとえ試作機であっても記者は供給装置が形になったことに純粋に驚き、ロボットシステムを見るなり「おぉ、すげぇ」と声を漏らした。

CAD(コンピューター設計支援)ソフトで設計したモデル
ペットボトルのふたを開ける機構も3Dプリンターで試作

 とはいえまだまだ課題も多い。「近接センサーの配置場所はどうするか」「コイル型スプリングの配置は現状の横向きがいいのか、縦向きがいいのか」など、供給装置一つとっても検討事項は山のようにある。

 実は、チームメンバーの6人が学内でサポーターの関係者と顔合わせをするのはこの日が最後だ。大会本番まで残り1カ月を切ったのも相まって、6人もサポーターも「聞きたいことは全部聞く」「言いたいことは全部言う」といった感じで“本気”の議論を交わしていた。

競技課題は難しい

真剣な雰囲気で進行した11月中旬の課題研究

 記者はその様子に圧倒されながらも、以前から思っていた率直な疑問をサポーターにぶつけてみた。

 記者「今さらですが、今回の競技課題(ペットボトルと金属ボトルの分別)って難しくないですか?」

 石川工機の石川社長「私もそう思います。そもそも分別対象のペットボトルと金属ボトルの種類が多く、形状も微妙に違います。しかもペットボトルはふたが閉まった状態なので、いったん開けて中のビーズを排出しなければ追加得点になりません。限られたスペースのロボットシステムでこれだけのことを実現するのはそう簡単ではありません」

供給装置をどう改善するかを議論している様子

 6人はそれだけ高難度な課題に挑戦しているだけに、11月の顔合わせの段階ではロボットシステムはまだまだ完成形とは程遠い状態だった。供給装置も改善の余地があり、設計をまた見直す必要があるだろう。ペットボトルのふたを開ける機構も未完成だ。
 当然、ロボットシステムは機械設計だけでは完結しない。その後には電気設計や制御、動作検証などが控えている。動作検証もせずにぶっつけ本番で大会に臨むわけにもいかない。

 果たして6人は大会本番までにロボットシステムを完成できるのか。目標である「連覇」を達成できるのか――。
 いよいよ本日、高校生ロボットSIリーグの熱戦の火ぶたが切られる。

――vol.8に続く

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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