• 連載
2019.02.08
★お気に入り登録

[注目製品PickUp! vol.8]速くて、コンパクトで、おしゃれなロボット【後編】/不二越「MZシリーズ」

試作に3Dプリンターを活用

「当初は速さをかなり重視した」と振り返る赤川執行役員

 小型ロボットを一から開発した経験がなかった同社にとり、MZシリーズの開発は“初めての取り組み”の連続だった。  赤川執行役員は「当初は速さをかなり重視した」と述べる。  ロボットの動作スピードを高めるには軽量化が欠かせない。また、大型ロボットに比べ小型ロボットの方が需要のすそ野が広く、出荷台数も多くなる。  そこで、MZシリーズのロボットアームの素材には軽量なアルミ合金を採用し、アルミダイカスト(熱で溶かしたアルミ合金を金型に圧入し、冷やして固めて目的の形状を作る鋳造技術。量産に向く)で製造することにした。  従来の大型ロボットは主に砂型鋳造(溶かした金属を砂で作った型に流し込んで目的の形状を作る。一品物や少量生産に向く)で製造していた。これまでも一部でアルミダイカストを取り入れたことはあったが、ボディーの全体をアルミダイカストで製造したのはMZシリーズが初めてという。  また、試作には3Dプリンターを初めて活用した。試作用のアルミダイカスト金型を工作機械で一から作ると時間がかかるが、3Dプリンターを使えば短時間で試作用の石膏(こう)型を作れる。試作期間を大幅に削減し、試作品の検証や評価に時間を割いた。

プロトタイプからデザインを一新

デザインを一から見直したMZシリーズ。白とグレーのツートンカラーが映える

 新しい技術を活用しながら、MZ07のプロトタイプ(試作機)の完成にこぎ着けた。  「実は、初めは今のデザインとは全然違う形だった」と赤川執行役員。試作機は、従来のスポット溶接ロボットなどと同じデザインコンセプトで作られた。  だが、当時の社長(本間博夫現会長)から「これからの時代、ロボットは人に寄り添うべきで、このままのデザインではいけない」との指摘を受けた。  そこで、工業デザイナーを交え、デザインを一新した。前編でMZシリーズが売れる理由に「デザイン」を挙げたが、デザインを追求し始めたのもMZ07が初めてだった。

★お気に入り登録

BASIC KNOWLEDGE