[注目製品PickUp! vol.92]熱対策がカギ! 最大16軸制御を省スペースで/CKD「ECMGシリーズ」
空気圧機器メーカーのCKDは電動機器の拡充にも力を注ぐ。2023年に発売した電動アクチュエーター用多軸コントローラー「ECMGシリーズ」は、カセット形状のユニットを連結して拡張する仕様を採用。コンパクト設計ながらも1ユニットに2軸接続でき、最大16軸までの同時制御を実現する。これで、同社従来品の単軸コントローラーと比べて設置スペースを約60%削減できる。
設置スペースを約60%削減
CKDはステッピングモーターを搭載した電動アクチュエーターブランド「ROBODEX pulse(ロボデックスパルス)」を展開する。同ブランド向けとして23年3月に発売した多軸コントローラー「ECMGシリーズ」は、コンパクトな設計ながらも最大16軸までの同時制御に対応する。
プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)からの指令を中継する「通信ユニット」や、電動アクチュエーターを駆動する「ドライブユニット」、終端の「エンドユニット」で構成される。
最大の強みはカセット形状のユニットを採用した高い拡張性にある。ドライブユニットは1ユニットで2軸を制御でき、通信ユニット1つに対して最大8ユニットまで連結可能だ。各ユニット1つ当たりのサイズは縦130mm、横22.6mm、奥行き110mmとコンパクトで、設置スペースを従来と比べて約60%削減できるため、省スペースでの多軸制御を実現する。
軸数の増加に伴う消費電流値の増大にも柔軟に対応できるよう、「一括配線方式」「個別配線方式」「混在配線方式」の3種類から電源方式を選択できるのも特徴だ。
多軸制御が必要な自動化ラインでの搬送やハンドリング工程向けに提案し、二次電池や電気自動車向けのバッテリーケースの生産ラインなどで採用実績があるという。
現在、「PROFINET(プロフィネット)」「EtherCAT(イーサキャット)」「CC-Link(リンク)」「EtherNet(イーサネット)/IP」の4つの産業用通信規格に対応する。
熱対策を追求
ECMGの開発に当たって追求したのは熱対策だ。コントローラーに出力が大きなモーターを接続する場合、内部に熱がこもり稼働率の低下につながる。そのため、従来は一定の出力以上のモーターを接続する場合はユニットを分けたり、ファンを付けて冷却する手法が一般的だった。
一方、ECMGはファンレスでも放熱できる構造を採用した。モーターの発熱を抑制する独自の制御技術で熱の発生そのものを減らすとともに、ユニット内部に空気が循環する流路を設けて自然対流で放熱する。これで、ファンのメンテナンスにかかる手間を省ける他、ファンの劣化に伴いコントローラーやアクチュエーターに悪影響を及ぼす事態も未然に防ぐ。
機器事業本部モーションシステムBU第1技術部の水谷真也グループリーダーは「ECMGは一つ一つのユニットが小型で熱がこもりやすく放出しづらいのが課題だった」と振り返る。
また、同電動営業部で企画担当を務める安達翔太係長は「熱対策の結果、ECMGは56mm角までのステッピングモーターを1ユニットに2軸接続できるようになった。運転比率を下げる、停止時間を長く取るといった制約がなく稼働効率を高められる」と胸を張る。
さらにECMGはアクチュエーターの駆動源であるステッピングモーターの性能を最大限に引き出す制御技術も搭載する。ステッピングモーターはサーボモーターに比べてコストが安い一方、トルクが弱い、速度が遅いというイメージを持たれがちだった。
安達係長は「ステッピングモーターは高精度な位置決めや精密な電流制御が得意。ECMGはサーボ制御技術でその能力を最大限に引き出し、アクチュエーターを高速かつ高トルクで動作させられる」と説明する。
同社は空気圧機器の販売で築いた海外ネットワークを生かし、ステッピングモーターの採用が進んでいない市場への訴求も目指す。