2025.09.26
★お気に入り登録

米国の新工場棟で生産能力を増強、国内にも新たに研究開発拠点/ダイフク

ダイフクは9月10日、東京都港区の東京本社でメディア向けに事業方針説明会を開き、米国インディアナ州の生産拠点に新工場が完成したと発表した。同拠点の生産能力は従来と比べ2倍に上がり、拡大する米国の自動化需要に応える。また国内では、研究開発拠点2カ所の新設を予定する。

通商政策も自動化需要に影響

米国の新工場棟が10月から稼働する(提供)

 ダイフクは長期ビジョンで2030年に連結売上高1兆円の達成を目標としており、現在はそれに向けた27年までの中期経営計画に取り組む。その中で米国を重点市場の1つとし、さらなる成長に向け生産能力の増強を進めている。

「地産地消の体制を確立しており、米国の関税政策の影響は限定的」と語る下代博社長

 9月10日の説明会では、米国での一般製造業や流通業向けのマテハン(マテリアルハンドリング)システムの生産拠点で新工場棟が完成したと発表した。インディアナ州の既存工場を増床し、生産能力を2倍に高めた。投資額は約50億円で、建築面積が約2万5000㎡。

 下代博社長は「人手不足や人件費の高騰に加え、近年は米国政府の通商政策で製造業の生産強化の動きがある。こうした点から自動化需要が一層高まるとみており、生産体制の強化が急務だった」と語る。新工場棟は10月から稼働する。生産設備に自動化システムを導入し、生産効率の向上や納期の短縮を図るという。

東京と京都に研究開発拠点

 また同日、東京と京都に研究開発拠点を新設することも明らかにした。東京都港区に設置する「東京Lab(ラボ)」は、26年1月の開設を予定する。同施設は研究・開発エリアや共創スペース、展示エリアなどからなり、面積は約1000㎡。もう1つの「京都ラボ」は京都市左京区に25年11月に開設予定で、面積は約900㎡。

先端技術の研究開発拠点「東京ラボ」のイメージ図(提供)
「京都ラボ」は同社マザー工場とも近く、各事業の開発を強化する(提供)
成長戦略について語る寺井友章副社長

 これらについて寺井友章副社長は「東京ラボではロボティクスや人工知能(AI)など、あらゆる事業に横断的に活用できる先端技術を開発する。京都ラボではマザー工場である滋賀事業所とのアクセスの良さを生かし、事業ごとの開発を強化する」と説明する。両拠点の開設に合わせ、27年度までに約50人の技術系人材の増員も予定する。

 「先進技術の開発を通じ、いまだに人手でしている作業の自動化を実現したい。特に物流現場で作業者の代替となり得るヒューマノイドの開発はマテハンメーカーとしての夢」と下代社長は話す。

(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)

★お気に入り登録

BASIC KNOWLEDGE