勉強会で終わらせず、現場実装までつなげる/山形県立産業短期大学校、エプソン販売、サトー
生産技術者を養成する山形県立産業短期大学校の学科横断組織「スマートものづくり研究会」は7月30日、校内で「第2回ロボット活用研究会in YAMAGATA(ヤマガタ)」を開いた。地元の製造業関係者約50人を対象に、エプソン販売(東京都新宿区、栗林治夫社長)とサトーが産業用ロボットと自動認識技術の最新情報を紹介した。「技術者の勉強会では終わらせず、製造現場への自動化技術の実装までつなげたい」とメカトロニクス科兼産業技術専攻科の山口俊憲教授は語る。
実機を持ち込みデモ
山形県立産業短期大学校のスマートものづくり研究会は7月30日、山形市内の同校実験研究棟で第2回ロボット活用研究会を開催した。
この研究会は今年度から新たに始めたもので、地元の製造業関係者に自動化技術の最新情報を提供する。また自動化に関心が高い企業同士や、製造企業と自動化機器メーカーとのつながり作りも目的とする。5月に実機デモンストレーションなしのセミナー形式で試験的に第1回を開催し、参加者から「ぜひ実機デモも見てみたい」との要望が多かったため、今回は座学と併せて自動化機器の実機を持ち込み、稼働実演も行った。
今回はセイコーエプソン製ロボットを販売するエプソン販売と、電子タグ(RFID)などの自動認識ソリューションを展開するサトーが開催に協力し、参加者への情報提供を担当した。
高精度な独自のセンシング技術をアピール
同社が以前寄贈した同校常設の垂直多関節ロボットで力覚センサーのデモも披露した。作業対象物(ワーク)の形状に合わせてアームを動かす「倣い制御」を実演し、こうした制御を動作プログラムに組み込む方法なども紹介した。
「エプソンではセンシングに内製の水晶デバイスを使っている。高い分解能と剛性を両立できるのは水晶圧電方式ならでは」とインダストリーソリューション営業部の鹿島航さんは言う。
製造業でのRFID活用を提案
サトーはRFID技術を製造業の部品管理や金型管理向けに提案した。RFIDタグにはさまざまな情報が書き込まれており、非接触で同時に多数のタグ情報を読み取ることができる。部品やその容器、金型などにタグを貼付すれば効率的に在庫を管理でき、使い方次第で進ちょく管理やトレーサビリティー(追跡可能性)の確保も可能になる。
パッシブ型と呼ばれるタグはリーダー(読み取り機)からの電波で発電して情報を送信するためバッテリー不要であることなど、RFID技術を基本から紹介した。「RFIDタグは金属に貼り付けると情報を読み取りにくくなるタイプもあるが、『金属対応』タイプなら問題なく使用できる。その他、耐熱や防水などさまざまなタイプがあることを知ってもらえれば」と国内営業本部製造市場戦略部の角野久市場戦略部長は話す。またRFIDタグやRFID対応ラベルプリンター、リーダーなどを多数展示し、タグ情報の書き込みや読み込みが手軽に行えることをアピールした。