[注目製品PickUp! vol.83] “多品種小ロット”を強みに、ロボットで段ボール箱を組み立てる/スターテクノ「段ボール箱自動組立ロボットシステム」
組み立てから搬送まで
最大20種類まで
同ロボットシステムの最大の特徴は、多品種小ロットの段ボール箱に対応できる点だ。組み立て可能な段ボール箱の外寸は幅210~270mm、長さ320~380mm、高さ180~290mmで、最大20種類まで専用のハンディーコントローラーに登録できる。標準仕様では、毎分約2.5箱のペースで2種類の段ボール箱をそれぞれ20箱ずつ組み立てられる。段ボール箱の組み立てに使われる一般的なメカ機構の専用機は毎分10箱以上を高速で組み立てられるが、品種変更の際には機構の調整など大掛かりな変更が必要だ。
加藤課長は「同ロボットシステムなら作業者が段ボール箱の寸法をタッチパネル式のハンディーコントローラーに入力するだけ。簡単に品種の切り替えができるため、その都度ロボットをティーチング(教示)する必要がない。また、1つのロボットハンドで複数種類の異なるサイズの段ボール箱を組み立てられるため、多様な品種の段ボール箱を扱う物流現場で大きな力を発揮する」と語る。
専用機との差別化を図る上で、課題となるのがシステムの価格だ。一般的にロボットは導入コストが高いため、同ロボットシステムの価格は専用機と比べると約3倍に上る。そのため同社では、ロボットとテープ貼りユニットを一体化した移設可能なモデル以外にも、それぞれのユニットを独立させて価格を3割ほど抑えたモデルも用意する。
加藤課長は「顧客の工場内で眠っているロボットにテープ貼りユニットを組み込み、一つの組み立てシステムとして再利用することで低コスト化を実現できる」と強調する。
無人化ラインの提案を強化
同社が同ロボットシステムを開発したきっかけは、ロボットを使って多品種の段ボール箱を自動で組み立てる段ボール製函(せいかん)機の製作依頼をとある食品容器メーカーから受けたことだった。
加藤課長は「段ボール箱は規格が統一されておらず、段ボール箱のメーカーや使用用途によってサイズも厚みもバラバラ。そのため、多様な段ボール箱をつぶさずに把持できる吸着パッドを内蔵したロボットハンドの開発にとても苦労した」と語る。
同社は「国際ロボット展(iREX)」や「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)」といった展示会への出展に加え、製造業向けの専門情報サイトに情報を掲載するなどして、物流業界や金属部品加工会社に同ロボットシステムを提案する。
加藤課長は「将来はSIerとして、グループ会社のスター精機(愛知県大口町、塩谷陽一社長)が開発したパレタイジングシステム『ロボットパレタイザー』やピッキングシステム、検査装置などと同ロボットシステムを組み合わせた物流工程の無人化ラインの提案を強化したい」と展望を語る。
(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)