[ショールーム探訪 vol.25]「分かりやすい展示」をコンセプトに/疋田産業「金沢ロボットセンター」
ロボットダイジェストの記者が読者に代わってショールームを訪問する連載企画「ショールーム探訪」。25回目は、工作機械やFA(ファクトリーオートメーション、工場の自動化)機器などを取り扱う専門商社の疋田産業(石川県白山市、疋田弘一社長)が金沢市に開所した「金沢ロボットセンター」を訪ねた。「分かりやすい展示」をコンセプトに、ショールームには複数のメーカーの多関節ロボットを7台設置。ロボット導入に関心のある地元北陸の企業などが気軽に立ち寄り、ロボット関連の情報を収集できる施設だ。
ロボットを身近に
約200㎡のショールームにはファナックや三菱電機の多関節ロボットに加え、オリエンタルモーター(東京都台東区、川人英二社長)の小型ロボット「OVRシリーズ」など計7台の多関節ロボットを展示した。複数のロボットメーカーの製品を1カ所に集めたショールームは北陸地方初(疋田産業調べ)だという。 この他、アイエイアイ(静岡市清水区、石田徹社長)の直交ロボットやCKDの助力装置「パワフルアーム PAWシリーズ」、SMCやドイツのシュマルツのロボットハンドなど、疋田産業が取り扱うメーカー各社の製品も並べた。 FA・ロボット推進チームの見本崇次長は、金沢ロボットセンターのコンセプトについて「ロボットに不慣れな人でもロボットのことを身近に感じてもらえるよう、『分かりやすい展示』を意識した」と説明する。
左側に垂直多関節ロボ、右側に協働ロボ
分かりやすい展示――。 そのコンセプトはショールームのレイアウトからも見て取れた。入口から見て左側には安全柵が必要な一般的な垂直多関節ロボットのデモシステム、右側には安全柵なしで人と同じ空間で作業できる協働ロボットのデモシステムがそれぞれ配置されており、室内を一周すれば一般的な垂直多関節ロボットと協働ロボットの違いが感覚的に理解できるだろう。 また、ショールームに設置された個別のデモシステムについても、具体性や分かりやすさを追求したという。見本次長らFA・ロボット推進チームの専任担当の説明を聞きながら一つ一つのデモシステムを見学すれば、「ロボットで何ができるのか?」「センサーを使えばどんなメリットがあるのか?」といった疑問が「こんなことができるのか!」との気付きに変わるはずだ。
金沢ロボットセンターの見どころの一つが、三菱電機の垂直多関節ロボットと米国のコグネックス製のビジョンセンサーを使ったベアリングの自動検査システム。ロボットがビジョンセンサーのところまでベアリングを搬送し、品種や型番を読み取ると同時に傷の有無もチェックする。自動検査システムには三菱電機システムサービス(東京都世田谷区、鈴木聡社長)の工場向け監視・制御ソフトウエア「SA1-Ⅲ」も実装しており、ベアリングの検査データやロボットの稼働データなどをSA1-Ⅲ上で一元管理できる。
また、ファナックの協働ロボット「CRXシリーズ」と三菱電機の協働ロボット「MELFA ASSISTA(メルファアシスタ)」、武蔵精密工業の無人搬送台車「S-CART(カート)」を使ったジェンガの搬送システムも見どころだ。片方の協働ロボットがジェンガをストッカーにピック&プレース(物をつかみ上げて所定の位置に置く動作)した後、S-CARTがストッカーを搬送してもう片方の協働ロボットに供給する。この作業を延々と繰り返す。 三菱電機のメルファアシスタにはビジョンセンサーが搭載されており、ジェンガに記載された疋田産業のロゴマークの向きを正しく認識した上でジェンガを整列する様子が見学できる。一方、ファナックのCRXシリーズにはビジョンセンサーが付いていないが、こちらではロボットアームを直接動かして教示する「ダイレクトティーチング」やタブレット端末によるプログラミングなどの操作体験が可能だ。