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2021.10.21

[特集MECT2021 vol.5]自動化をもっと手軽に!

「メカトロテックジャパン(MECT)2021」の会場では、ロボットシステムをパッケージ化するなどして、工作機械の「手軽な自動化」をアピールする企業が多い。まだまだロボットの活用が進んでいない中小企業などにも自動化の裾野を広げるため、各社は工夫を凝らしたシステムを提案する。

既設機向けロボットシステムを初披露

既設機に後付けしやすいファナックのQSSRオンサイト

 新設の工作機械は自動化することが増えているが、既設機の自動化はまだまだ進んでいない。そこで、工作機械の制御装置メーカーでもあるファナック(3D07)は、既設の工作機械を自動化するためのロボットシステム「QSSR ON-SITE(オンサイト)」を会場で披露した。
 工作機械側の改造なしに、接続してプログラムなどを修正するだけで容易に自動化できる。今年6月にオンライン開催した「第30回ファナック新商品発表展示会」で発表した製品で、「実機を展示するのは今回が初」(製品担当者)と言う。

現場で役立つ機能が満載

現場で便利な機能を備えた近藤製作所のロボキット

 近藤製作所(1A33)も、工作機械を手軽に自動化できるロボットのパッケージシステムを提案する。展示するのは、ロボットと加工対象物(ワーク)のストッカーを一体化した「ロボキット」だ。中小企業でも導入しやすいシステムで、土日の2日間あればセットアップが完了する。
 以前から販売してきた製品だが、今回展ではその改良版を発表した。例えば、ストッカーとロボット架台を締結するロックを外すとロボット架台部分だけ動かせるため、切削工具の交換などがしやすい。
 「他にも、保全作業時の照明などに使える100V電源や、作業工具を収納するツール収納棚など、現場のニーズに即した機能を備えている」と橋本和樹取締役は言う。

ロボットよりさらに手軽に

エンシュウはロボットよりさらに導入しやすい自動化を提案

 ロボットシステムよりさらに手軽な自動化を提案する企業もある。
 エンシュウ(3B04)はマシニングセンタ「GE30Ve」に、機内自動搬送装置「E-Loader(ローダー)」を取り付けた「GE30Ve+E-Loader」を初出展した。機内で加工対象物の付け外しや搬送をする装置だ。
 E-Loader付きの製品としては2機種目。従来機「WE30Ve+E-Loader」と比べ、軸の最大移動量を拡大し、ワークの可搬質量は従来の5倍の50kgに高めることで、顧客の幅広い自動化ニーズに応えられる。
 搬送ローダーの駆動源には、マシニングセンタの駆動機構をそのまま利用する。「ロボットやガントリーローダーでの自動化よりも簡易的で、中小企業でも導入しやすい」と担当者は説明した。

主催社もロボットをアピール

多数のロボットを展示するコンセプトゾーン

 会場内には、出展者だけでなく主催者による展示もある。
 1号館の特設会場で実施する主催者企画のコンセプトゾーンでは、「未来を変える新時代の自動化」をテーマに、生産現場に最適な産業用ロボットの活用法や高度化したシステムなどを紹介している。
 さまざまな種類の物を持ち上げて運搬するロボットや、中小企業でも導入しやすいシステムなどを4つのゾーンで取り上げる。来場者が直接触れてロボットに動作を教えられたり、ロボットと作業の早さを競える体験ブースを設けた。

ロボットテクノロジージャパンの出展相談ブースも

 同じ1号館には、来年6月30日~7月2日開催の産業用ロボットと自動化システムの専門展「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN(ロボットテクノロジージャパン、RTJ)2022」の出展相談をするためのブースもある。MECT2021と同じ主催者が開催する展示会だ。
 「説明を聞くだけ、パンフレットを持って帰るだけでもいいので、まずは気軽にブースまで来ていただければ」と担当者は言う。

(ロボットダイジェストMECT取材班)


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