生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.10.23

連載

[お嫌いですか、ロボットは?#3]荷台は2台にとどまらない(下)

きらびやかに輝く都会の片隅にたたずむ1軒の老舗バー「王道」。
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の次長・たにがわじろう行きつけのバーで、酒を酌みながらふと思い出す昔ばなし。酔った勢いで、他では語られない業界の裏話はまさに実話。アブナイ話も所詮は酔っ払いの戯れ言。悪しからず。


たにがわじろう……SIerの次長。機械商社で産業用ロボットを導入した自動化の経験を買われ、10年前に新設されたSIerにヘッドハントされる。入社以来ずっと次長のまま。52歳のバツイチ。

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「#3 荷台は2台にとどまらない(上)」はこちらから

――で、どうなったんですかその案件は。まさか大成功でシャンシャンってハズはないですよね?
 ああまあマスター、そう焦らずに。生ハムとサラミもらうわ。ドリンクのお代わり頂戴。

――同じものででいいですか? ジャックソーダで。
 うん、頼むわ。レモンをぎゅっとしぼってね。マスターも、良かったら何か一杯飲んでよ……………。

 われながら、計画は完璧だった。依頼主だった運送会社の担当者や、取引先の通販会社のシステム担当者とも話し合った。通販会社も乗り気で、受注システムや物流センターの在庫システムとも連動させて、受注予測に基づいた管理システムを構築して在庫切れを防ぐようにするなど、想定するシステムはどんどん高度になっていった。

 しかも、それまで客の注文から翌々日配送だったものを翌日配送にしようとしたんだ。改めて計算したらシステム全てで総額20億円を超える案件にまで膨れ上がった。

 物流センターのフロア図面を基に、ここに「自動ピッキング棚エリア」、ここからは「手動ピッキング棚エリア」と大まかに分けて線引きしていった。ベルトコンベヤーはこう引いて、ここでカーブさせて。床がロボットの重量に耐えられるよう、補強も加えてと。将来の拡張を見込み、俺たちSIerとロボット、マテハンの両メーカーのエンジニアに、倉庫を建てたゼネコンの担当者や設計会社も加わって、アイデア実現のために計画を詰めていった。

 階下の発送エリアでの荷扱い作業の導線も関連するから、トラックを止める場所を決める配車担当者やトラックドライバー、荷物の積み込みを手伝う助手やアルバイトまで話を聞いた。まずは計画の概要から、荷物がどう流れ、どこでどうパレット(荷役台)に積み上げ、どこにどう並べられるかなど、微に入り細に入り、丁寧に説明して、意見を聞いた。

 そもそもドライバーは固定給と、運んだ荷物の重量で決まる歩合給の合計で給料の額が変わるから、想定される重量の合計まで計算した。東京方面ならこれぐらい、関西方面はこれぐらい、九州や四国はこれぐらいなど、通販会社の受注履歴を基に弾き出していった。

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