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2019.05.24

[注目製品PickUp!vol.13]精密トルク制御でロボットが変わる?! 【後編】/ロボテック「ユニサーボ」

ロボテック(東京都中央区、吉本喬美社長)は、高精度なトルク(回転する力の強さ)制御が可能な電動トルクアクチュエータ「ユニサーボ」とその応用製品を製造、販売する。ユニサーボは回転を生み出すアクチュエーターと減速機、トルクメーターを一体化した製品だ。前編では同製品の構造や開発の経緯、高精度なトルク制御ができる秘訣(ひけつ)などを取り上げた。後編ではどういった使い方ができるのか、その用途を中心に紹介する。

あるはずの摩擦がほぼゼロに

 高精度なトルク制御ができると何が可能になるか。「ゼロトルク制御やバイラテラル制御など、さまざまな制御が可能になる」と市橋真営業マネージャーは言う。

 右下の動画のようにユニサーボの出力軸の先に棒を付け、人が回そうとすると、なかなか回らない。減速機の摩擦があるためだ。
 しかし、ゼロトルク制御の状態で回すと、ほとんど力をかけずともスムーズにくるくると回せる。

ゼロトルクなどさまざまな制御が可能(ロボテック提供)

 これは人が回す力を感知して、瞬時にその方向に軸が回るため。
 同じように棒を回した際に、ばねのように反発させることもできる。押し込むと次第に抵抗が強くなり、離すと元に位置に戻る。設定を変えればばねの強さは自在に調整できる。その他、棒の片側にだけ重りを付けたかのように制御することも可能だ。

ボールがないのに、手応えはある

 もう一つのバイラテラル制御とは、同じ装置が2つある場合、片方を人がつかんで動かすと、もう一方も同じように動く制御のこと。トルクも両者で同じになるよう制御する。

 右下の動画は、バイラテラル制御を使ってボールをつぶした時のもの。片方の棒の下に弾力のあるボールを置き、もう一方の棒を操作してそのボールをつぶす。すると、つかんだ棒の下には何もないのに、手にはボールの手応えが感じられる。実際に体験してみたが、速く押してもゆっくり押しても、棒から伝わる感触はボールそのものだった。双方向通信のため、ボールを置く方とつかむ方を入れ替えても同じことができる。
 感じるボールの反発力を何倍にも増幅したり、半分にしたりなども自由自在だ。

  • 触れている棒の下には何もないのにボールの手応え

  • バイラテラル制御のデモ(ロボテック提供)

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