[特集 FOOMA JAPAN2021 vol.1] 融合する食品機械とロボット
アジア最大級の食品機械の展示会「FOOMA JAPAN(フーマジャパン、国際食品工業展)2021」が6月1日~4日に開かれる。同展では各種専用機のほか、産業用ロボットを組み込んだシステムの展示が近年急速に増える。人手不足や新型コロナウイルス禍により、食品産業でますます注目が高まるロボット・自動化機器。そのトレンドとは――。同展を主催する日本食品機械工業会(日食工、海内栄一会長)や出展社への事前取材、会期中の会場取材を通し、最新動向をお伝えする。
2年ぶりの開催
コロナやHACCPで拍車
食品産業では、自動化のニーズが近年急速に高まっている。 自動車産業や電機産業と比べて自動化が進んでおらず、中小規模の企業では特に人手に頼る工程がまだまだ多い。それだけ少子高齢化に伴う人手不足の影響を受けやすく、自動化のニーズが高かった。人手不足の度合いを示す欠員率はコロナ禍による景況悪化で全産業平均で一時的に低下したが、いわゆる「巣ごもり需要」による加工食品の消費拡大もあり、食品産業での人手不足感は再び高まっている。 自動化ニーズをさらに高めたのがコロナ禍だ。食品工場では人が密集して作業する工程も多く、対策が迫られる。人の密度を下げるには、自動化するしかない。 さらには、2020年6月に義務化された食品衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」も、自動化ニーズの高まりを後押しする。HACCPでは、仕入れから加工、出荷までの各工程で、微生物や異物混入などの危険要因を特定し、管理することが求められる。ロボット産業で言うと、協働ロボット導入時のリスクアセスメント(リスクの分析と対処)に近い考え方だ。人手で作業するよりも、自動化する方がリスクを管理しやすく、自動化ニーズの高まりにつながっている。