2023.09.25
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迫る「2024年問題」、物流業界の最前線に注目【前編】/国際物流総合展2023

まだまだ裾野は広かった/オートストアシステム

オートストアシステムは処理能力の高さをアピール

 ノルウェーに本社を置くロボット自動倉庫システムメーカーの日本法人、オートストアシステム(東京都港区、安高真之社長)は「AutoStore(オートストア)」の処理能力の高さをアピールした。  これは今年5月に就任した安高社長の方針で、「オートストアは空間を最大限有効に活用できるため『高密度』のイメージは強いが、反面『遅い』と誤解されることが多い。その認識を塗り替えたい」と語る。  同システムの認知が物流業界に広がった際には、確かに処理能力は早くなかった。しかし、この数年で制御ソフトウエアの進化などがあり、大幅に処理能力を高めた。今では、ピッキング作業などをする「ポート」1つ当たり、1時間で最大650箱まで対応できるという。  そんな安高社長だが、今回展で新たな発見があったと喜ぶ。  「物流業界ではそれなりの認知度と自負していたため、処理能力の高さをアピールする方針を採った。しかし、物流業界以外の、例えば製造業界の部品倉庫や工場などにも保管や搬送用途があり、その業界への認知はまだまだと思い知った。その分、裾野をさらに広げられると感じた」と明かす。

高さ80mm程度の薄さに、来場者が驚き/Cuebus

 ベンチャー企業のCuebus(キューバス、東京都千代田区、大久保勝広社長)は、荷物を載せた専用台を磁力で動かして搬送する自動倉庫システム「CUEBUS(キューバス)」を出展した。その特異な技術に、多くの来場者が足を止めた。  キューバスは、センサーや電磁石、溝形状のレールを組み込み床面に敷き詰める「タイル」と荷物を載せる「トレー」、制御装置で構成される。  タイルの上にトレーを設置して使う。トレーには球状の車輪が付いており、レールの溝に沿って走行する。永久磁石を内蔵しており、タイルの電磁石に反応する。その電磁石の磁気の発生を制御して、搬送したい方向へトレーを誘導する。  トレーにモーターやバッテリーを搭載しないため、故障などの心配が少ない。また、タイルにもギアなどを使っておらず、耐久性が高い。  来場者が注目したのは、システム全体の高さだ。タイルとトレーを合わせても高さは80mmほど。そのためトレー上部の空間を有効に使える。  先行導入事例では、高さ1.5mの衣服をつるしたハンガーラックを扱う。倉庫の床面だけで使うのではなく、鉄骨を組んで3層にし、上下の昇降機も付けた。倉庫の天井高5mまでを目いっぱい使い、空間効率を向上させた。空間効率が良いため同社では「都市型立体ロボット倉庫」と呼んでいる。  展示機の可搬質量は30kgで、移動速度は最速で毎秒3m。100V電源で稼働できる。電気やレールの配線もタイルをつなぎ合わせるだけなので、展示機の設置は1時間半程度で済んだという。  大久保社長は「出展してみて、フォークリフトで扱うサイズの荷役台(パレット)を扱いたいとの要望が多かった。サイズを大きくすれば、理論上は可搬質量を1tまで高められる。初心者でも扱えるような制御側のソフトも合わせて開発して、現行機種と合わせて来年半ばをめどに製品化したい」と意気込む。

――【後編】へ続く

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜、水野敦志)

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