電源さえあればどこでもロボット、5G環境のスマート工場
ロボ導入だけでは解決策ならず 5G利用でライン構築簡単に
インタビュー 九州工業大学大学院 工学研究院 西田 健 准教授 日本全国で人口が減少し、ほとんどの地域が「消滅可能性都市」になると予測される。このままいけば100年先でも人口は増えない。少子高齢化で労働者人口が減少する中、日本は世界で初めて「人口減少」と「長寿命化」を同時に迎える。 産業用ロボットは生産性向上の道具。工場で必須の存在で、今後さらに高機能化が進み価格も安くなる。しかし産ロボは半完成品でしかない。ハンドなどのエンドエフェクターは完全オーダーメイドで、制御盤や操作盤、ペンダントも別売り。動作プログラミングもユーザー自身が実施する。システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に依頼しても、準備期間は標準で4カ月かかる。しかも、システム構築にかかるコストのうち、ロボット本体のコストは20~30%に過ぎず、複雑になればなるほどコストもかかる。 現在は、産ロボの人件費に対する優位性は中小企業ほど低い。ロボットの導入だけでは人口減少の解決策にならない。中小企業のロボット導入のきっかけは半数以上が口コミで明らかに情報不足。中小企業ではロボットを使いこなせない。 実証実験で使った汎用ロボットハンドと配置換え可能な3Dセンサーアプリケーション、言葉やしぐさでプログラムできる自律動作のための人工知能(AI)ロボットに5Gを利用すれば、配置換えや増設が自由な生産ラインが簡単に構築できる。レンタル企業などと連携し、ロボットパッケージのレンタル事業も視野に入れたい。
(ロボットダイジェスト編集部 長谷川 仁)
※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2020年4月号でもお読みいただけます。