金属加工業3社が語る自動化のコツ、ロボットテクノロジージャパン2026で公開取材
「作業の標準化」がロボット活躍の基盤に/山田製作所
登壇企業3社について、簡単に紹介しよう。
山田製作所(愛知県あま市、山田英登社長)は、ロボット用減速機や油圧機器、農業機械などの精密部品の研削加工を手掛ける。製造現場の自動化やデジタル化に注力しており、現在は研削盤への被加工物(ワーク)の着脱作業を担うロボットシステムが計8台稼働する。今年度中にはさらに3台のロボットシステムを増設する計画だという。
山田社長は「わが社のロボットシステムの多くは、ロボットが複数のパレット(ワークを搭載する台)を出し入れしながら、パレット内のワークを順次研削盤に供給する『パレットチェンジ方式』を採用している。多品種少量生産でも、一度段取りするだけで夜間も休日も無人稼働できるため、生産効率が大幅に高まった」と語る。
研削加工には熟練のノウハウが求められるといわれるが、同社は熟練技能者に依存しない生産体制を構築するため、10年以上前から「作業の標準化」に努めてきた。「標準化を通じて誰でも簡単に高精度な研削加工ができる状態にすることで、まずは女性社員、続いて外国人社員、そして最後にロボットが活躍する基盤を築いた」と山田社長は述べる。
同社では約60人の従業員のうち女性社員が約7割を占めており、現在はロボダイでいうところの“ロボジョ”4人がロボット操作や段取りなどを担当する。これだけ女性活躍が進んでいるのも標準化の成果の一端だ。
壁にぶつかっても諦めずに/カトウ
カトウ(川崎市中原区、加藤欣吾社長)は製缶や板金、切削の技術を持ち、アルミを中心に幅広いワークの加工を手掛ける。溶接工程では、ファナック製のロボット2台を使い、ワークの供給から溶接までを自動化した。
10年以上前までは手動の設備中心の工場だったが、「このままでは時代に取り残される」との危機感から、数値制御(NC)工作機械や産業用ロボットの導入に乗り出した。現在は工場に合計5台のロボットが稼働する。
今でこそロボットを巧みに使いこなすが、初めての導入時には苦労もあった。加藤社長は「当時はまだ情報も少なく、ロボットの動かし方が分からなかった。近隣に頼れるSIerもおらず、結局動かせないまま約1年が経過した」と振り返る。だがそこで足を止めることなく、少しずつロボットの知識を学び、安全講習も受けた。やがてロボットの動作プログラムを組めるようになり、生産量の多いリピート品を中心に、溶接の自動化を成し遂げた。
さらには工作機械へのワーク供給を自動化するパッケージシステムを、自社で独自に構築した。パッケージシステムを組めるほどまでに習熟できたのは、壁にぶつかっても諦めずに動き続ける姿勢が大きいという。
まずは簡単な工程から/スザキ工業所
スザキ工業所(岐阜県各務原市、鷲﨑純一社長)は、自動車部品のプレス加工や溶接加工を得意とする。台湾のテックマンロボットの「TMシリーズ」を使った協働ロボットシステムの初号機を2024年に初めて導入して以来、2号機、3号機と段階的に追加し、現在は計3台の協働ロボットが稼働する。
初号機はプレス加工後の部品を箱詰めする作業、2号機と3号機はスポット溶接機に部品を供給する作業をそれぞれ担う。鷲﨑圭一朗取締役は「わが社の製造現場はプレス加工機の配置が既に固定されており、レイアウトを変更するのが簡単ではない。設置スペースに制約があったため、適切なリスクアセスメント(リスクの分析と対処)を施せば安全柵が不要になる協働ロボットを採用した」と述べる。
自動化を進める上で重視したのが、どの工程に協働ロボットを使うかを見定めることだという。鷲﨑取締役は「協働ロボットに何か問題が起こっても、人手ですぐに挽回できる工程を選んだ。『失敗しない工程』を初号機の自動化対象としたことで、協働ロボットが実際に製造現場で稼働するイメージを社員にも共有でき、後の2号機や3号機へとつながった。いきなり高いハードルを設定するのではなく、まずは簡単な工程から自動化するのがポイント」と強調する。
公開取材では以上の3社に、ロボットの導入成果や苦労話、失敗しないためのポイントなどについて語ってもらう。詳細はRTJの公式ウェブサイトから。
担当記者からのおすすめ!
〇「ロボットテクノロジージャパン2026」が6月11日から開幕!

