中国ROKAEと代理店契約を締結、SIer事業の方針を大幅転換/IDECファクトリーソリューションズ
6つのカテゴリーで高く評価
IDECファクトリーソリューションズはROKAE精機の販売代理店となったのを機に、16年から展開するSIer事業の方針を大幅に転換した。従来は協働ロボットに特化したSIerとして、多様なメーカーの協働ロボットを使用しながら顧客のニーズを満たす自動化システムを構築してきた。
SIer事業のターゲットには当初から中小企業を据えていたが、自動化システムの導入費用の高さなどから大手企業向けの案件が多かったという。また、協働ロボットは簡単に操作でき、産業用ロボットと比べて少ない工数で自動化システムが構築できるため、生産技術力が高い大手企業向けの案件だとSIer独自の付加価値が生み出しにくいとの課題もあった。
中小企業に協働ロボットを本格的に普及させるには――。この問題に対してIDECファクトリーソリューションズが導き出した答えは、SIerとして多様な協働ロボットを扱うのではなく、販売代理店として特定の協働ロボットにリソースを集中させることだった。そして、約2年の検討期間を経てROKAEに候補を絞った。もともとは特定のメーカーの協働ロボットへの依存を避ける目的でロボットメーカーの販売代理店にならない方針を掲げていたが、昨年11月にROKAE精機と販売代理店契約を結んだ。
武仲取締役COOは「安全性、機能性、操作性、精度、デザイン、価格の6つのカテゴリーで高く評価した。ROKAEの協働ロボットなら中小企業に導入しても高い費用対効果が期待できる」と述べる。
チームで普及へ
IDECファクトリーソリューションズはSIerとして培ったノウハウや、IDECグループが得意とする安全対策のノウハウを生かし、金属加工会社を中心とした中小企業への提案を加速させる構えだ。溶接やマシンテンディング(工作機械などに加工物を着脱する作業)、パレタイジング(段ボール箱を積み付ける作業)の自動化を見据えたパッケージシステムも拡充し、中小企業が協働ロボットをより導入しやすくなる基盤も強化する。
しかし、中小企業と一口に言っても裾野が広いため、IDECファクトリーソリューションズだけでは全ての需要に対応できない。そのため、今年4月にはロッキーチームを発足し、複数の商社やSIerと連携してROKAEの協働ロボットをより広く普及させる体制も築いた。
IDECファクトリーソリューションズは販売代理店としてパートナーの商社やSIerにROKAEの協働ロボットを安値で卸したり、技術教育や安全対策などの各種サポートを提供したりしながら、中小企業の人手不足の課題にチーム全体で応える。
武仲取締役COOは「SIer事業の方針転換はわが社にとっても大きなチャレンジで、『これでダメなら撤退する』との強い覚悟で臨む。まだまだロッキーチームのPRが不十分なため、今年度は仕込みの時期と捉えて展示会出展やウェブページの拡充などの販促活動に力を注ぐ。27年度にはROKAEの協働ロボットで8億円、30年度には15億円の売り上げを達成したい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)