[注目製品PickUp! vol.66]薄さと軽さを突き詰めた減速機ユニット/ハーモニック・ドライブ・システムズ「CSF-ULWシリーズ」
「産ロボの用途が一気に広がった」
核は変えずに軽量、薄型に
軽量化のために、信頼性の高い歯車の構造はそのままに、歯車と組み合わせる主軸受けやハウジングの構造と素材を徹底的に見直した。 例えば、主軸受けのベアリングをクロスローラータイプから4点接触のボールベアリングに替え、ハウジングの素材を鉄系からアルミ系にした。 その結果、減速機としての機能性を損なうことなく、大幅に薄く軽くできた。 昨今は地球環境への対策も叫ばれる。ロボットや各種装置の消費電力の削減のためには、モーターやアクチュエーターで動かす機構も軽い方が良い。 ロボットだけでなく、半導体製造装置にも向く。同装置は設置スペースを抑える観点から、上部方向に大型化する傾向にある。装置の高さが高くなり、同じ面積あたりでも重量がかさむ。そのため、上部に位置する要素部品ほど、軽くしたいニーズがあるという。 そういったニーズにも、CSF-ULWシリーズで応えられる。
さらなる応用で、より薄く軽く
現在は、より薄い波動歯車装置「CSDシリーズ」を適用した新製品「CSD- ULWシリーズ」を開発している。今回取り上げたCSF-ULWシリーズよりも、さらに約30%減の薄さを目指す。 開発を担当する堀川佳祐さんは「展示会などでは参考出展もしており、今回取り上げたCSF-ULWよりも、さらに薄く軽くなった製品を見た来場者から驚きの反応を得ている。今年中には正式発売のめどを付けたい」と意気込む。 こうした要素部品は市場に発表してから、実際に需要が増え始めるのは2、3年ほどかかる。発表後に組み込んだロボットや装置の開発が本格化するためだ。 CSF-ULWシリーズは発表から3年。同製品を組み込んだ各社の産業用ロボットがちょうど今活躍し始める頃合いとなった。 木野副本部長は「さらなる高性能や小型化を追い求める各メーカーの『夢』の具現化を、製品を通じてお手伝いできれば幸い。そのためには特殊品対応にも応じる。まずは、CSF-ULWシリーズが、どのような形で市場に浸透して活躍するのか、われわれが一番楽しみ」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
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