生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2023.06.27

イベント

食品向けロボットが注目集める!【その3】/FOOMA JAPAN2023

もろいクッキーを持ち上げる

大森機械工業のクッキーの自動包装ライン

 包装機械メーカーの大森機械工業(埼玉県越谷市、大森利夫社長)は、クッキーの自動包装ラインを展示した。ベルトコンベヤーで搬送されてきたクッキーをスカラロボットで持ち上げ、専用の包装機の上に乗せかえる。

 クッキーはもろく割れやすいため、ロボットハンドでの把持が難しかった。
 今回の展示機では、空圧機器大手のSMCが開発した「ベルヌーイグリッパ」を使用した。把持するワークと同製品の間の空気圧を周囲よりも低くし、ワークを吸い付けるため、接触せずに持ち上げられる。
 大森機械工業の担当者は「接触しているわけではないので、クッキーを割らずに扱える」と話す。

不定形で外力受けやすい袋を持ち上げる

OMCのロボット式開袋システム

 直接食品を扱う以外にも、幅広いロボットの使い方が紹介された。
 粉体機器メーカーのOMC(名古屋市中区、尾上稔社長)は、食品原料などの入った大型の袋を開けるロボット式開袋(かいたい)システムを展示した。主にロボットアームと袋を切るカッター、カッターの下で袋の中身を受けるコンテナで構成する。

 荷役台(パレット)上にある袋の位置を、ビジョンシステムで認識する。次に、ロボットアームの先端に付けた独自のエンドエフェクタ―の爪で、袋を突き破りながら把持する。
 そのまま、持ち上げて袋をカッターに押し当てて開袋する。袋の内部に中身が残らないよう、切り口を広げながら、袋を左右に傾ける。

 ビジョンシステムには中国メーカー、Mech-Mind(メックマインド)ロボティクスの製品を使った。人工知能(AI)を搭載した画像認識ソフトウエアも付帯しており、不定形な袋でも簡単に重心を見分けられるという。

 担当者は「袋を突き破って爪を引っかける形で把持をすれば、不定形で外力で形の変わる袋でも、持ち上げやすい。その後すぐに開袋作業をするので、爪で多少の穴が開いても問題視する顧客は少ない。ビジョンシステムで重心を見極めているので、把持の確実性が増す」と胸を張る。

TOP